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第32話.ディナータイム

 しばらく経っただろうか。気付かないうちに寝ていた俺は、時計を見て今が何時かを確認する。スマホをつけて確認したところ、画面はちょうど5時半を示したところだった。


「結構寝てたな……」


 体を起こして周りを見渡した。すると、俺の足元では凛もスマホ片手に寝ている。多分凛も俺と同じ感じで一緒に寝落ちしてしまったのだろう。

 ベッドから降りて立ち上がると和室の方へ向かう。するとそこには既に目覚めていた華山と空宮、そして先生もいた。


「あ、刻起きたね」


 和室の中に入ると、空宮が俺に気付いてこちらを向き、それにつらて華山姉妹もこちらを向いた。


「ゆっくり寝れましたか?」


 そう華山が聞いてくる。


「どうだろうな。なんせ寝落ちした状態だったからな」


 事実今とんでもなく背中が痛い。少し身体を伸ばさないと後に引きそうだ。

 軽くストレッチを始めると、華山が少し心配そうにこちらを見た。


「鏡坂くん背中大丈夫ですか?痛いですか?」

「いや、まぁ痛いけど。動けないとかそういうレベルじゃないから、まだマシだよ」

「そうですか。なら良かったです」


 華山はホッと胸を撫で下ろす。

 その様子を見た後、座布団の敷いてある座椅子の一つに座った。


「お腹減ったね」


 確かに腹も減るだろう。時間も晩ご飯にしては早いものの、家庭によってはこれぐらいに食べるという時間があってもおかしくはない。


「そうだな」

「でしょー?」


 簡単なやり取りをしていると、華山がなにやら動き始めた。


「華山どうした?」

「あ、いえ、今日の晩ご飯の時間を調べようと思って」

「あぁ、そういう事ね」

「はい」


 華山はすぐに調べ終わったらしく、こちらをまた向き直した。


「6時半から晩ご飯だそうです」

「分かった〜。でもあと1時間か。結構あるなぁー」


 空宮がお腹を押さえながらそう言った。

 たしかに1時間という時間は、お腹が空いている身からしたら、結構きついかもな。でも間食を食べるのには少し間が悪い。


「ふへぇ〜……」


 どうやらこの時間が今の空宮には相当キツイらしく、今にも倒れそうだ。ここは何か策を練ってやらないと。

 間食ではなく、更にはお腹を一時的に満たす物。

 おもむろに立ち上がると、カバンから財布を取り出す。その様子を見ていた3人達は、こちらを疑問の目で見ていた。


「刻、何か買いに行くの?」

「あぁ、空宮のお腹を晩ご飯の時間まで満たしておくものをな」

「別にいいのに」

「いや、お前ずっと隣でお腹空いたって言われてる身にもなってみろ?何とかしたくなるだろ」

「それは……ごめんなさい」


 空宮は申し訳なさそうにこちらを向いて、頭をぺこりと下げた。

 部屋の扉を開いて、近くの自販機まで歩く。

 ちなみにだが、俺が買おうとしているのは、自販機という段階で食い物ではないことは明確だ。つまりは飲料。そしてお腹を一時的に満たすのは、お腹の中で膨らむ何かだ。これより導き出されるものは、そう炭酸飲料!

 炭酸水を自販機で買い、ガコンと音がしたら下の受取口から取り出す。俺はその炭酸水片手に部屋に戻った。



✲✲✲



 俺達は6時20分に部屋を出た。なぜかと聞かれれば当然晩ご飯を食べに行くためにだ。

 ちなみにディナー会場となっているのは、俺達の泊まっている部屋の一個下の階、つまりは四階にあるホールだ。


「やっぱり大きいね」


 空宮がそう言った。

 確かに大きい。平気で俺達の学校の体育館の二倍以上はゆうにある。


「だねぇ」


 凛も空宮に共感したようだ。

 ちなみに凛が起きたのは10分ほど前の話。はだけそうになった浴衣で起きてきたもんだから、全員パニックになってもう大変大変。


(空宮に手で目を隠された時は不覚にもドキッとしたけど、向こうはそれどころじゃなかったんだもんなぁ)


 ホールの中に入ると、指定された席に着く。テーブルの上には既に料理が置いてある。


「美味しそうだね」


 空宮はそう言うと満面の笑みになった。


「じゃあ食べるとするか」

「そうだな」

「じゃあ、頂きます」


 俺達は料理の蓋を開けると驚いた。


「凄い……」


 そこにあったのは、魚の刺身や広島の特産物の一つである牡蠣だ。


(この牡蠣めちゃくちゃ美味そう。もちろん刺身もそうなんだけど)


 俺は口に牡蠣を運ぶとその美味しさにまた驚く。食べることで分かる海のミルクと言われる所以が。


「美味しいね」


 空宮も牡蠣を食べたらしくそう言った。



✲✲✲



 牡蠣や海鮮系の料理を約30分楽しんだ後部屋に戻った。


「美味しかったね」

「うん、でも、もうお腹いっぱいだよ」


 確かにお腹はかなりいっぱいになった。

 俺はお腹を擦りながら、持ってきておいた本を取りだす。


「刻何読んでるの?」

「ん?自動手記人形が主人公の話だよ」

「へー、面白い?」

「あぁ、面白いし泣ける話だよ」


 空宮は興味思ったようでこちらに近づいてきた。


「私も読もうかな」

「そうしたらいいんじゃないか」

「うん」

「貸してやるぞ」

「ありがと」


 そんなやり取りした後、また本を読みに戻った。

 夜は今から始まる。どんな事が起きるのかはまだ誰も知らない。けれどそんな事に不安を抱いていても仕方がない。

 そうだ、後で星でも外に見に行くか。


第32話終わりましたね。

牡蠣美味しいですよね。あとは刺身も、もちろん美味しいですよね。マグロにブリも全部美味しいってことですよ!

さてと、次回は26日です。

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