表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/700

第31話.ゲームスタート

 凛が空宮と華山を起こしに行く間に、俺はデッキの配分を進めておく。

 強いカードが入っていろと、念を送りながらデッキ配布をさらに進めていると、和室の方から眠そうな空宮と華山を引き連れた凛が帰ってきた。


「刻くーん、2人を連れてきたよ」

「むにゃ……」

「おう、空宮眠そうだな」


 本当に眠そうだ。目を完全に閉じてるから、空宮の長いまつ毛が余計に際立って見える。


「鏡坂くん今から何をするんですか?」


 空宮の方を見ていると、その隣から俺に声をかける言葉が聞こえた。


「UNOだよ、UNO」

「ほへ?」


 華山に何をするのか聞かれたので、ご希望に沿うように答えると、華山は「何それ?」という感じで小首を傾げている。


「UNO知らない?」

「あ、すみません。実はそういった類のものに詳しくなくて」

「あぁ、別にいいぞ?ルールくらい教えてやれるし」

「すみません、ありがとうございます」


 華山は少しだけ申し訳なさそうに頭を下げた。


(別に申し訳なさそうにする必要ないのにな)


 そう思いながら説明に使う例になりそうなカードを選び出していると、隣に華山が座った。


「あれ、隣に座る感じ?」


 隣を見ればすぐそこにいる華山と目が合う。


「あ、いえ。ここの方が鏡坂くんの説明を聞きやすいかと思って。すみません、もし邪魔でしたら退きますけど」

「いや、別に退かなくてもいいけど。ただ……」

「ただ?」

「そんなに密着しなくてもいいんじゃないかな?」


(そう、実は華山は俺の隣に座ってからずっと密着状態なのだ!って、この説明いるのか?いるか)


「あぁ……すみません。まだ少し眠たくて、何か支えがないと寝そうで……」


 華山はその後、何か言葉を喋ることは無かった。


「すー」


 隣からは柔らかい寝息が聞こえてくる。


(華山さん寝てらっしゃいますね。え、どうしよう。起こした方がいい感じ?でも起こしたのって俺達だからな。ゆっくり寝る権利が華山にはあるわけであって)


 どうしようかなと悩んでいると、空宮の相手をしていた凛が帰ってきた。そして凛の傍らにいたはずの空宮がなぜかいない。


「ありゃ?華山さんも寝ちゃったかぁ」

「華山もってことは、もしかして?」

「そう、そのもしかしてだよ」

「寝ちゃったか」

「そうなんだよ」


 凛は腕を組みながらどうしようかと悩んでいる。

 まぁ、そりゃそうだよな。UNOして遊ぶのに2人ってどうしようもないしな。

 一応解決案というか代案を凛に提案しておく。


「UNOはこいつらが完全覚醒した夜中でいいんじゃないのか?晩ご飯の頃には多分起きてるだろうし」

「そうだね」


 凛は俺の提案した代案で納得したようで深く頷いた。かと思えば凛はまたすぐに口を開く。


「じゃあ刻くん」

「ん?」

「私達も蒼ちゃんと華山さんを見習って一緒に寝ようか!」

「は?」


(この子は一体何を言ってらっしゃるのでしょうね。僕にはもう分かりません!)


 と、そんなふざけた事を言っている場合ではない。凛を正気に戻さなければ。


「あのさ、今晩寝る時どうしようか、って話の時もこんな感じになったの覚えてない?」

「もちろん覚えているよ」

「じゃあ俺がなんて言うかもわかるよな?」


 そう聞くと凛はもちろんとでも言うかのように大きく頷く。


「もちろん、刻くんも私の膝枕で寝たいんだよね!」

「違うよ?」

「違うの?」


 ダメだ。俺じゃなくて空宮とか華山じゃないと、これは何とかできない。



✲✲✲



 凛の相手を一通りした後、ベッドに倒れるようにして寝転んだ。


「あはは、刻くんごめんね?僕の相手をしていたばっかりに疲れさせちゃって」

「いや別に大丈夫だ。凛も暇なのは嫌だろうしな。ちょっとくらいは暇つぶしの相手になってやらないと」

「そう?じゃあもっと遊んでもらわないと!」


 凛はそう言うと何やらスマホで調べ物をし始めた。

 もしかして、また別の遊びでも調べてるの?確かに相手はするつもりだけど今は疲れてるからちょっと待って……。

 そんな儚い願いも凛に届くことはなく、俺はまた遊びに駆り出された。


「何するの?」

「ゲームアプリで遊ぶの」

「ゲーム?」


 スマホゲームか。どのジャンルするんだろう。


「そ、まずはこのアプリダウンロードして」

「えーと……」


 って、このゲーム俺もう持ってるじゃん。


「なぁ凛。俺このゲームもうインストールしてるんだけど」

「そうなの?」


 凛は少し驚いたような顔になったあと、可愛らしい笑顔になってこういった。


「じゃあ一緒にイベントクエスト行こうよ!あのボス強くてなかなか倒せなくて」

「確かに強いな。俺も時間かけて何とか一回倒したけど、それ以来もう挑んでないわ」


 もうあのボスヤバすぎるんだよ。ボスのターンになれば毎回HP回復するし、強力な必殺技バンバン打ってくるし。非常にきつい。


「じゃあスタート!」

「おう」


 過去のクリアした経験を活かして凛と協力プレーを始めた。

 今回は勝てるかな?


第31話終わりました。スマホゲーム楽しいよねぇ。

さてと次回は24日です。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ