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第287話.癒しの源は彼女さん

 2人してのそのそと立ち上がると部屋を変える。

 テレビの電源はちゃんと消しておき、代わりに寝室の明かりをつけた。

 寝室の明かりは三段階に分かれていて、今はその三段階のうち一番下の明るさだ。

 お互いの表情がギリギリ見える程度の明るさ。心なしか蒼の纏う雰囲気が急激に色っぽくなる。

 青いパジャマ姿の胴体にキュッと浮き出る影がさらにこちらの気持ちを昂らせてきた。


「なんか刻の視線ちょっとエッチになってない?」

「い、いや、そんなことにはなって……ないとは言えないかもしれません」


 事実俺の中の男の部分はとっくの昔にその気になってるのだから。


「もっと言うと……」

「うん?」

「今すぐ押し倒したい気分です……」

「……じゃあ、押し倒してもらおうかな?」

「了解」


 ベッドの上に優しく蒼の事を押し倒し俺は蒼にキスをする。

 今回は珍しく蒼の方から積極的に求めてきた。

 先程もリビングでキスをしたはずだが、お互いに纏う空気感というかシチュエーションが微妙に違うためか濃厚さが違ってくる。


「……キスばっかじゃ……嫌」

「……じゃあ、甘噛みでもしようかな」


 個人的には割と気に入っているこの甘噛み。

 蒼の耳を優しく唇で包むようにすると可愛らしく声を漏らすので、何度もイジワルしたくなってしまうのだ。


「ひゃん……ふぁ……」

「可愛い」

「……もう……今はずるいって」


 口元に指を当てながら蒼は頬を染めてぷいっと違う方向を見てしまう。



✲✲✲



 事を済ませた後に俺達は眠りに入る前に少しだけ頑張って起き上がっていた。


「明日って何の教科があったっけ?」

「国語と日本史と英語と……あとはロングホームルームとかだったから、そこまで必要なものはなかったはず」

「そっかぁ。ありがと」


 本来の俺達の社会としての立ち位置は学生だ。だから当然平日には高校に通うのでその準備をする。


「そういえばさ、私達が同棲してる事って先生達には伝えた方がいいのかな?」

「んー、どうせ学年が変わった時に書く書類とかで住所の変更とかも書くからなぁ。別にいいんじゃないのか?その時で」

「そうかなぁ。あ、でもユウとか凛には言わないとね!」

「それはまぁ、そうだな。部員仲間だし、友達だし」

「そうそう。お泊まり会する時も間違って実家の方に行かれちゃ困っちゃうしね」

「……その時は俺、家に帰るね?邪魔しちゃ悪いから」

「えー、一緒にお泊まり会したらいいのに」


 唇を尖らせながら平然とそう言うが、本来恋人でもない男女が一つ屋根の下で一夜を共に過ごすのは異様なことなのだ。

 確かに俺達には恋人になるより前に似たような経験があるわけだが、それは半分事故のようなものであって仕方がなかったことなのだ。それにその時はまだそういう対象としては見ていなかったわけだし。

 それに蒼の立場的にも不安なものが本来あるはずなのだ。

 少なくとも過去には俺に好意を抱いていてくれた凛。その凛と4人一緒とはいえ一緒に夜を越すのはさすがにと、男である俺の方が思ってしまう。

 事実、蒼が灯崎と一緒に夜を越そうというものならば俺は耐えられない。すぐに奪還しに行く。


「とにかく蒼が良くても俺はダメだと判断した。だから、お泊まり会は3人で仲良くしてくれ。なんならその時は(うつみ)も貸すから」

「むぅ……刻ともそういう事してみたかったのに」

「いやいや、これから毎日するようなものなんだけど?」

「そうだけどそうじゃなくてさ、なんだろ。うーん……やっぱりいいや。言葉に直すの難しい」


 蒼はすっかり諦めてしまい、そこからは黙々と明日の準備を仕上げにかかっていた。

 切り替えの速さには驚かされるが、そんなことは今はどうでもよく、俺も蒼の後に続くように用意を終わらせる。


「じゃあ、寝るかぁ」

「寝よぉー!」


 ピュンっとベッドにダイブを決めると蒼は隣の空いているスペースをポンポンっと手のひらで叩く。


「ほら、早く入ってきなさいな」

「はいはい、お邪魔しますよっと」


 のそのそと隣に体を収めると俺はリモコンで明かりを消した。


「じゃあ、おやすみ蒼」

「うん、おやすみ刻」


 お互いの指だけを結んであとは瞳を閉じた。


第287話終わりましたね。さて、次回ではかなりお久しぶりにPhotoClubのメンバーが出てきますね。早く書いてあげたいです。あとは個人的には番外編として緋山と泊里のやり取りと、濱崎山下カップルのお話も書いてみたいですね。緋山と泊里は結構気に入ってるので。

さてと次回は、20日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」という方はぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!

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