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第284話.2人きりの晩ご飯のメニュー

 初めに見つけた可愛らしいサボテンと水やりようの霧吹きを購入し、ついでにお揃いのマグカップも購入した。

 某ハウス系CMの中に出てくるメガネ主人公の可愛らしいサボテンから名前を取って『ボンちゃん』と名付けることにし、私達は荷物を持ってまたあてもなく歩いた。


「ねぇ、次はどこ行く〜?」

「俺は別にどこでもいいぞ。蒼が行きたいところに俺はついて行きますので」

「うーん、じゃあ映画が観たいかなぁ」

「映画?」

「うん。前に刻と映画を見た時は青春ものだったけど、今回は海外のアクション物!日本よりもCGが少ないから迫力が凄いって今話題なんだ〜」

「へぇ、そりゃ面白そうだ。じゃあ、今から観に行くか」


 刻も興味を持ってくれたらしく、荷物を持っていない方の手で私の事を先導しながら映画館にへと向かう。

 券売機で学生二枚分のチケットを購入し、開場されるまでの少しの時間をロビーのソファで過ごした。


「わ、このソファすごく沈むよ」


 軽く腰かけたつもりなのに想像以上に腰の位置が下がって少し立つのが大変になる。

 一度刻に立ち上がるのを手伝ってもらいながら、もう一度あまり深く沈みこまないように注意を払いながら座った。


「そうだ、今日の晩ご飯何が食べたい?映画が終わったらスーパーに買い物に行こうかなって思ってるんだけど」

「晩ご飯かぁ。正直蒼の作る料理全部美味しいからな。食べれるなら何でも俺は嬉しいんだけど」

「褒めてくれるのは嬉しいんだけどねぇ。何でもは困っちゃう」

「うーん……そうだなぁ」


 腕を組みしばらくの間本気で悩みながら刻は今晩の晩ご飯のメニューを考えていた。この悩み方からするとどうやら本当に私の料理であれば何でもいいらしい。

 何だか嬉しいようなちょっと寂しいような。

 こういう時は世の奥様方は旦那さんに一体何を作ってあげるのだろうか。自分の得意料理?それとも思い出の料理?うむ、分からない。第一私はまだ刻の奥さんではないのでそんな経験をしたことも無いし、今からそれの疑似体験をするだけだ。


「あ、そうだ」


 しばらくの間悩みに悩んだ末に刻は何やら思い付いたようで私の方をパッと見た。


「蒼が初めて作ってくれたあのオムライスが食べたい」

「オムライスってあの食堂のを再現した時のあれ?」

「そう。あれが蒼の手料理を食べた初めての時だし、節目の時に食べるものとしては申し分ないかと思って」

「なるほど、いいよ!作ったげる!」

「よっしゃ」


 小さくガッツポーズをしながら喜ぶ刻を見ていると、自然とこちらも嬉しくなってくる。

 しかし、ここで先程の刻の言葉を少し不思議に思った。


「ねぇ、刻」

「ん?」

「節目って何?」


 節目の言葉の意味は分かるが、今日がその日かと聞かれれば違う気がする。どちらかといえば昨日の方が節目にふさわしい気がするからだ。


「あぁ、それはだな、今日から本当の2人暮らしが始まるって意味での節目だよ」

「本当の2人暮らし?」

「うん。昨日はさ引越しとかで忙しくて、ザ・日常!みたいな生活はしなかっただろ?だけどそれに反して今日は引越しも落ち着いて前と同じような普通の暮らしが出来ている。だから、今日を2人暮らしのスタート日として節目に置くのにはふさわしいんじゃないかと思ったってだけの話だよ」


 確かに刻の話には十分理解ができる。昨日は日常よりも非日常感の方が強かった。引越しなんてイベントは初めてだったし、何より単純に忙しかったし。だから、刻の言わんとしていることは分かる。


「じゃあ、節目の日にはオムライスを食べるっていう鏡坂家の慣習にしよっか」

「おう、そうしようか」


 お互いに笑いながらそんな事を決める。

 ちなみにだが、鏡坂家と言ったのはマンションの私達の部屋の表札が鏡坂で統一されているからだ。おかげで隣人さんに挨拶をしに行った時は、高校生と思われるよりも先にまず新婚さんだと間違われた。私としては全然それでいいのだけれども。



✲✲✲



 映画の迫力に私達は圧倒されながら約2時間半の時間を堪能した。鑑賞し終えた後もお互いに興奮冷めやらぬ様子であそこが良かった、ここが凄かった等と会話に華を咲かせていた。


「ふぅ、よしっ、じゃあスーパーに買い出しに行こっか」

「だな。映画の話だけしてても目的は達成されないしな」


 手を繋ぐことは忘れずに歩き、空調の効いた店内に入ると目的の食材を次々と購入していった。



✲✲✲



 空に浮かぶは無数の星。

 向こうに見えるのは幾つもの自動車の明かり。

 海から漂う潮の香りはツンと鼻を刺すが、慣れれば少し癖になる。

 少し汗ばむ程度には暑い季節だが、手に感じるのは大切な温もりはいつの季節も心地がいい。



「結婚してください」



 私はこの言葉を何年も待っていたのだ。


第284話終わりましたね。早くもイチャイチャさせたくなってきた今日です。そしてR18の方は書くと言っておきながら全然書いてないです。早く書かないとね。短編の方で出すから告知するので読んでね!

さてと次回は、14日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」という方はぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!

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