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第28話.お部屋問題

 受付を終えた先生からとんでもない報告を受けた後、ひとまず取れていた部屋に向かった。

 今回泊まる予定の部屋は五階にある部屋らしい。俺達はエレベーターに乗って五階のボタンを押して着くのを待つ。


「部屋が一つか……」


 隣に立っている凛は「むむむ」と言う感じで、考え事をしていた。まぁ、言うまでもないがその内容とは、今回取れていた部屋が一つだけだったということについて。

 ホテルの計らいで2日目はもう一部屋確保して貰えたが、1日目に関しては満室だったらしくこちらで何とかするしかないらしい。


「どうしましょう……」

「どうしようか……」


 ちなみに華山と空宮の2人は後ろでこちらも悩んでいる。先生に関しては罪悪感からなのか、先程から呪怨のように何かを呟いている。

 エレベーターが五階に着く寸前に凛が急に顔を上げた。そして凛が口を開くと同時にエレベーターの扉も開く。


「今晩刻くんと一緒の部屋に泊まるってことは、刻くんも入れて恋バナが出来るじゃないかっ!」


 凛は口を開いたかと思えば、ちょっとよく分からない事を口走り始めた。


(この子、ちょっと夏の暑さにやられてるみたい)


 凛の事を心配しながら部屋のある方へと歩いていると、後ろから何か喋り声が聞こえてきた。


「ねぇ、ユウ」

「何ですか?」

「今晩は刻と一緒の部屋に泊まるわけだけど、何かイタズラしちゃう?」


(うーん、何か悪寒がするなぁ。家に帰ったら風邪薬飲んどこうかな)


「い、イタズラはダメですよ!」

「えー、楽しそうなのに」

「駄目なものはダメなんですっ!」


 何だか後ろは賑やかですなぁ。仲がいいのは良い事だよ。でもそれよりも先に解決せにゃならん問題があるから、先にそれをどうにかしようか。

 部屋の前に着くとエントランスで貰った鍵を使い中に入った。部屋の奥の方に和室がある。そこまでの道のりには洗面所やトイレがあり、後はベッドが二つ置いてある。


「わぁ、きれーい!」


 空宮も俺の後から部屋に入ってくると、部屋の奥へとトタトタと歩いて行った。俺も部屋の奥に歩いて行く空宮について行くと、そこにはガラス張りの窓とベランダがあり、そこから見える景色は一階にあるエントランスから見えたあの海と同じものだ。俺達はベランダに出て海をしばらくの間眺める。


「綺麗だな」

「だね」


 隣では空宮が笑ってこちらを見ている。少しの間その顔に見とれていると後ろから声をかけられた。


「はいはい、お2人さん。仲がいいのは別にいいけども、先に解決しなきゃならないことがまだ残ってるでしょ?」

「そうだったな」


 忘れかけていたが、そういや俺達は今晩この部屋で一緒に泊まるんだった。一体どうするのだろう。

 俺達はベランダから戻ると全員和室の方で座っていた。何か空気が重いな。


「戻って来たね」

「おう」


 先生はコホンと言うと立ち上がり、いわゆるお誕生日席の場所まで移動した。


「では今から、男女お泊まりする部屋どうしようか問題の解決に取り掛かります!何か案がある人は挙手をお願いします」

「はいっ!」


 先生の合図と同時に凛が元気よく挙手をした。そのスピードと言えば、空気を切り裂いたのではないのかと思うぐらいの速さで。


「凛さんどうぞ」

「もういっその事、刻くんも一緒に寝るのはどうでしょうか!」

「は?」

「刻くんが望むなら僕の膝で膝枕をして、その後添い寝してあげないこともないんだけど……」

「ストーォップ!」


 さすがにやばいと思ったのか顔を真っ赤にした空宮が凛を止めに入る。


「ひ、膝枕……」

「うん、私的には面白いけど立場上これ以上はちょっと止めとかないといけないからな」


 華山も顔を赤くしてこちらを向き、先生は面白そうに笑いながらこちらを見ている。先生、一応この状況を招いたのはあなたですからね?


「ひ、膝枕はまだしも、添い寝はダメ!」

「いやどっちもダメだろ」

「ぶー、つれないなぁ」


 その後しばらくの間、修羅場のようになったのは言うまでもない。



✲✲✲



 あの後お互いに冷静になったのを確認してから、もう一度話し合いを始めた。


「はい」

「空宮さんどうぞ」


 空宮は先生に当てられると指を立てながら喋り始めた。


「私達が和室に布団を敷いて、刻がそこにあるベッドで寝るのはどうでしょうか。ベッドと和室は少し離れてるし丁度いいかと思います」

「ふむ、この案に賛成のものはいるかね?」


 先生がそう言って挙手をするように俺達に促す。


「俺はそれで大丈夫ですよ」

「私もそれで大丈夫です」

「僕もー」


 これにて一件落着か。まぁ、言っても今晩だけの話だしな。


「よし、じゃあ汗もかいたし少し早いが温泉にでも入りに行こうか」


 先生がそう言うと女子達の目がキラキラと輝き始めた。


「温泉!」

「気持ちいいですよねぇ」

「刻くん楽しみだね」

「だな」


 俺達は風呂に入りに行く準備を始めると部屋を出る。

 さて、一汗流しに行きますか。


第28話終わりましたね。凛が結構グイグイ来る感じ?良かったよねぇ。

さてと次回は18日です。お楽しみに!

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