第254話.本日のイチャつきコース
ダイニングテーブルの上には焼きたてのトーストと卵にサラダ。あとはベーコンの載ったプレートが三つ並んでいる。キッチンの方に目をやれば、インスタントのコーヒーをコトコトと入れている現の姿があった。
「お、降りてきたね」
「朝ごはんできたってさっき言われたからな。お腹も減ってるし」
「そうだろうね〜。蒼姉とイチャイチャしてたんなら体力も使っただろうし」
「いや、イチャイチャするだけならそんなに体力使わない気が……」
「……てへ!」
何かを誤魔化そうとする現は、やたらと上手なウインクをして舌をペロッと出した。
誤魔化した内容は少し気になるものの、聞いても教えてくれないと分かっているから追求はしない。
「おはよう〜」
椅子に腰かけ現がコーヒーを入れ終えるのを待っていると、扉を開いて蒼が入ってきた。意識はだいぶ覚醒したらしく、目にも光が灯り始めていた。
「蒼姉おはよっ!コーヒー入れてるから刻兄の隣にでも座って待っててね〜」
「うん、分かった」
トテトテと歩きながらこちらの方に向かってくると、蒼は隣の椅子を引いてトンっと座った。意識は覚醒しているものの寝起きであることには変わらず、また身だしなみを整える時間も無かったので、今はいつものポニーテールではなくただ髪を下ろすだけのシンプルな髪型をしている。
普段は見えている耳が見えていないというのは少し不思議な感覚で、寝転んでいないと甘噛みを出来ないなと少し残念な気持ちになった。
「なーに?何か顔に付いてる?」
「ううん。可愛いなぁって思って見てただけだぞ」
「えへへ、ありがと」
蒼は可愛らしく笑顔を浮かべながら、人差し指で髪の毛をクルクルとする。頬を赤くしているところを見ると、どうやら少し照れたらしい。昨日の夜の方がもっと照れる事をしていたような気がするのだけどなぁ、と思いながら俺は優しく頭を撫でた。
「うへぇ、妹の前で堂々とイチャつく兄カップルって一体何ー?」
苦笑いを浮かべながら現はコトリコトリとコーヒーの入ったカップを三つ置いた。
カップの中からは白い湯気がゆらゆらと立ち上っている。
「ありがとね」
「ありがと」
「どういたしましてー。さ、食べよっ」
それぞれの席にしっかりと着き、正面を向くと俺達は手を合わせた。そして同じタイミングで「いただきます」と呟くと、現手作りの朝食を食べ始める。
「今日の予定は?」
「私は友達とまた初詣にでも行ってくるよ」
「あ、そう」
「刻兄と蒼姉は?」
「「多分家でイチャつきます」」
口を揃えてそう言うと「相変わらずな事で」と現はケラケラと笑った。
仲がいいだけなので別にどちらも恥じることも照れることもしない。
あくまで堂々と、テーブルの下で手を繋ぐだけだ。
第254話終わりましたね。また次回にはイチャイチャする2人の様子が見れることでしょう。書くのが楽しみです。
さてと次回は、13日です。お楽しみに!
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