第251話.大人のキス
両手の隙間からチラリと刻の顔を見る。
目が合った。バッチリ刻と目が合ってしまった。
嬉しそうに笑う刻の表情は女の子の私から見ても可愛らしく映る。だけど、やっぱり可愛いなどよりも恥ずかしいの方が勝ってしまった。
「蒼」
「な、何だね……」
「もう一回……キスしていい?」
「ヒュっ……」
変な息の吸い方をしてしまい、思わず変な声が出てしまう。
キスか。別に嫌という訳ではないのだ。むしろもっとして欲しいくらい。けれど、キスをしている時の刻との距離が近すぎて心臓が持ちそうにもないのだ。
「だめ?」
「だ……だめ……じゃない。もう一回して」
首を横に振りながらそう言って私は刻の事を見た。
幸せそうに笑いながら刻はすっと唇を私のものに重ねてくる。
「ん……」
思わず声が漏れ出す。
何度も何度も啄むようにキスをされながら、私は段々と身体が火照ってくるのを感じた。
頭がぼーっとする。だけど、キスをやめる理由にはならないし、やめるつもりもない。
自然と刻の後頭部に腕を回して私は刻をさらに抱き寄せた。
唇だけじゃない。胴体も全て接触していて、お互いの鼓動だって凄く分かる。
鼓動に体温に息遣い。体の筋肉がどこに多く付いているのかまで全て。
「んんっ……」
突然唇を掻き分けるようにして刻の舌が入ってきた。
絡み付くようにゆっくりと唾液が交わる。
「んはっ……」
「ぷはっ……」
息が苦しい。心臓も大きく動いていて、体も重い。
刻も少し疲れたようで私の上に少し体を乗せている。
後頭部から背中に腕をずらすとギュッと抱きしめた。
「刻のキス……エッチだよ……」
「あはは……これが大人のキスって事」
「私達同い年じゃん……」
「だな」
ゆっくりと体を起こしながら刻は私の横に寝転ぶ。手を繋ぐと私は体を横に向けた。
目の前に映る耳たぶをかぷりと甘噛みすると、私はすっと目を閉じた。
「どうした?」
「んー、エッチなキスの仕返し?」
「嫌だった?」
「嫌じゃないよ。嫌じゃないけど……何だろ。ほら、私の気分もさ……エッチになっちゃうから」
「そ、そうか……」
「刻はエッチな気分にならなかったの?」
少し強気で聞いてみると刻は少しドギマギとする。
ニヒルと私は笑うと刻の頬にキスをした。
「答えはまたいつか聞くことにするね」
第251話終わりましたね。2人のラブラブな生活は書いていて楽しいです。書きながらドキドキしている自分もいるのです。
さてと次回は、7日です。お楽しみに!
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