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第24話.合宿スタート!

 新幹線を降りてJR線に乗り換える。そして、そのまま宮島駅の方に向かえば後はトントン拍子でフェリー乗り場まで一瞬だ。


「ひゃー、人いっぱいいるね」


 凛がそう言うと空宮や華山も辺りを見渡し始めた。


「確かにいっぱいいるね」

「やはり夏休みに入ると毎年こうなのでしょうか?」

「分からなーい」


 女子達は楽しそうに会話をしている。俺はその話の輪には入らずに辺りを見渡してみた。実際に見渡すことでわかるが、周りには相当な人数の人がいる。

 フェリーの乗り場までの道のりにこれだけの人がいるのだ、実際にフェリーに乗ればもっと人がいるのだろう。

 周りの様子を見ながら見えてきたフェリーに乗り込んだ。


「おー、大っきいね!」

「ですね!」


 今日に限っては珍しく華山もテンションが上がっていた。

 フェリーに乗り込んだ後、デッキに上がった。空は真っ青で眼前には空よりも濃い青色の海が広がる。

 俺はその景色を見た後に一つ下の階に降りてベンチに座って休憩を始めた。


「ふぅ」


 周りのベンチには小さい子供を連れた家族も数組いる。ただ、小学生くらいの子供を連れた家族はベンチなどには座らずに、落下防止の柵の手すりに捕まってはしゃいでいる。

 その様子を横目に見ながら海の方を眺めた。空には鳥が飛んでいてのどかな雰囲気だ。

 しばらく俺がそんな事をしているとデッキから華山が降りてきて、そのまま華山は俺の隣に座る。


「どうした?」


 俺は隣に座った華山に声をかける。すると華山は、「ふあぁ……」とあくびをしながら話し始めた。


「いえ、今日はいつもより早く起きたものですから少し眠たくて……」

「そうか、まぁ分からんでもない。俺も新幹線の中で寝まくってたからな」


 覚えてる記憶は空宮からポッキー貰って食べたところだけだ。


「すぐに宮島に着くわけじゃないし、ちょっとの間寝てたらどうだ?着いたら起こすし」


 俺はそう華山に言った。すると華山は少しトロンとした目付きでこちらを向きながら頷く。


「じゃあ、少しの間寝かせてもらいますね」

「おう、そうしろ」


 華山はそう言うと綺麗な姿勢を保ったまま寝に入った。俺がその様子に見とれているとちょうどいいタイミングで風が吹く。その風は華山の髪の毛を巻き上げた。巻き上げられた銀色がかった華山の黒髪は太陽の光に反射して、さしずめ芸術品のようだ。

 ちなみにだが、周りのお父様やら男性の方も俺と同様に華山に見とれている。



✲✲✲



 フェリーが10分間の船旅を終えたあと宮島に到着した。そして俺は華山を起こした後、デッキに上がっている凛と空宮と華山先生を呼びに行った。

 ちなみに凛達はと言うと、カメラでフェリーの上から見えた厳島神社の鳥居の写真を撮っていたらしい。

 フェリーを降りるとそこには少し大きめの建物がある。そこを抜けて外に出ると宮島上陸!という感じだ。


「ついに着いたね」

「着いたな」

「着いたね」

「着きましたね」


 俺達は先に外に出た凛に着いていく。

 目指すは厳島神社。そこまでの道のりは小さめの町の様になっており、かき氷の店やらなんやらが結構沢山あった。


(てかそれ以前にさ、ここは実は宮島じゃなくて奈良ってことはないか?何でこんなに鹿いるんだよ)


 と、そんな感じで俺は鹿に驚きつつも歩みを進める。


「わわっ!どうしたの鹿さん?」


 突如凛がそう言った。

 凛の方を見てみると凛の周りには無数の鹿の群れがいる。

 多分あれだな美人オーラに誘われてきたんだろ。空宮と華山と先生の周りにも何頭かいるし。


「お腹減ってるのか?」

「さぁ、分からん」

「鹿せんべいあるかな?」

「無いんじゃねぇの?ここ広島だし」


 俺達はそんなことを話しながらゆっくり鹿から逃げる。鹿はしばらくの間は俺たちに着いてきていたが、食べ物を持った観光客の人を見つけるとそちらに行ってしまった。



(やっぱり結局は食い物か)


「ふぅ、鹿さんから逃げてたから少し暑くなっちゃったね」

「だね」


 鹿から逃げ終えたあと凛と空宮がそう言った。額にはじわりと汗を滲ませている。

 まぁ、確かに今日暑いしな。俺は辺りを見渡して涼める場所を探してみると、近くにはかき氷の店があった。


(買ってきてやるか)


「ちょっと買い物してくるから、ここで待っててくれ」

「どこ行くの?」


 空宮がそう聞いてきた。


「かき氷を買いに」

「へー」

「お前達も何か食いたい味とかあるか?買ってきてやるけど」


 俺がそう言うと空宮と凛は目をきらきらさせて、後ろでは華山も目をきらきらさせてこちらを向いていた。


「いいの!?」

「いいぞ」

「じゃあ全員イチゴ味でいっか。一回一回注文するのも面倒だし」


 空宮のその台詞のおかげで全員のメニューが決まった。先生の分は適当に決めとくか。俺はカバンから財布を出して凛たちに一声かけてその場を一度離れた。


「いらっしゃい」


 かき氷の店の前に着くと、店の奥から優しそうな顔のおばあちゃん店主が出て来た。


「何を(こう)てくの?」

「えーと、いちご味のやつを四つとおばあちゃんのオススメひとつでお願いします」

「はぁい、分かりました。えーとね、値段は750円ね」


 俺はお金を渡してかき氷を五つ貰う。後ろを振り返り持っていこうとしたら空宮が立っていた。


「手伝うよ」

「お、さんきゅー」


 二つかき氷を空宮に渡して3人の元へ戻った。

 これを食べて涼んだら厳島神社に行かないとな。


第24話終わりました。かき氷いいですよね。一気に食べて頭が痛くなるあれ、なんて言う現象なんだろう。どうでもいいかな?

さてと、次回は10日です。お楽しみに!

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