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第239話.牛乳

 どうしようか。キスをしようと刻に提案するか、ここではしないでおくのか。

 個人的にはものすごくしたい。もっと言えば頑張って押し倒してもいいかなと思うくらいにはしたい。ただ、それをして刻に嫌がれるのもあれだし。どうしよう。


「蒼どうかした?」


 少し俯きながら悩んでいたためだろうか。刻が少し心配そうにしながら私に声をかけた。


「ん?あぁ、大丈夫だよ。ちょっと悩み事をしてただけだから」

「悩み事?」

「うん。悩み事」

「その内容は聞いても?」

「恥ずかしいからまだダメー」

「そうかぁ」


 少し残念そうに笑いながら刻は私の頭を優しく撫でる。刻に撫でられるのが気持ちよくて思わず少し声を出してしまった。


「声、出たな」

「わ、悪い?刻の手、落ち着いて気持ちいいんだもん」

「そうか」


 嬉しそうに笑う刻の顔を見ながら私は刻に撫でられ続けた。


「刻兄、蒼姉朝だ……おっと、イチャイチャ中ですか。これは失礼」


 急にガチャりと扉を開けて(うつみ)ちゃんが入ってきたかと思えば、状況を見るなり速攻で部屋を出て行ってしまった。私と刻は思わず顔を見合わせて笑ってしまう。


(うつみ)の邪魔も入ったし、それに今日も一応終業式あるからそろそろ準備するか」

「うん。私は一回家に帰って制服着てくるね」

「ん、了解。朝ごはんはどうする?」

「んー、制服来てくるついでに食べてくる」

「分かった」


 一通りのやり取りを終えると私は一度刻に部屋を出てもらいその間に服を着替えた。刻から借りていた服は丁寧に畳んで返す。

 先に制服に着替えていた刻に玄関先まで見送ってもらうと、私は門を開いて帰路に着く。

 足取りはすごく軽い。それに冬の寒さなんかよりも私が纏う体温の方がよっぽど暖かくて、今は寒さなんか全く感じなかった。


「えへへ、刻の彼女になれたんだ〜」


 ニヤニヤは止まらない。幸い朝早いためか、歩いている人はほとんどいないのでこの顔を見られることもなく済んだ。

 家に帰ると早速玄関ではニヤニヤとした笑みを浮かべるお母さんと鉢合わせた。


「んふふ〜、昨日の夜はどうだったの蒼?」

「おかげさまで〜」


 そう言いながら家に上がると後ろからお母さんに「もしかして?」と聞かれる。少しだけ間を空けてから、私は精一杯の可愛い笑顔を浮かべてピースサインをした。


「刻とお付き合いする事になりました!」

「きゃー!よかったねぇ!今日は赤飯よ!」


 なぜか私よりもはしゃぐお母さんを微笑ましく見ながら、私は自室に向かった。

 一階からお父さんの「え!?蒼が付き合った!?」という声は聞こえなかったことにしよう。

 部屋に入ると着ていた服を脱いで下着を変えると制服を着た。黒いタイツにスカート。それに公立高校の制服にしてはかなり可愛いデザインのブレザー。それをしっかりと着こなすと私は荷物を持って一階に降りた。

 リビングに入るとお父さんはどうやら私が着替えている間に仕事に出たらしい。


「よかったわね。お父さんに余計な事を聞かれなくて」


 「ふふっ」と笑いながらお母さんは笑う。

 確かに誰と付き合ったのかとか、いつからの付き合いなのかとか聞かれたら少しめんどくさい。お父さんは刻の事を小さい時から知ってるから、許してはくれると思うけど。それでも恋愛の事をお父さんから聞かれるのは嫌なものだ。


「はい、朝ごはん」

「ありがと」


 コトリと置かれた食パンにベーコンとスクランブルエッグ。あとは牛乳。


「あ、この牛乳はもう要らないかしら?」

「ん、何で?」

「だって刻くんと付き合ったからねぇ。自然と成長するわよ!」

「……お母さんッ!?分かりにく下ネタ入れないでくれるっ!?」


 バシバシと肩を叩きながら私は朝ごはんをペロッと平らげた。

 牛乳を飲んだ方が成長する可能性上がるから、これからも飲み続けるもん……。

 密かに決意をすると私はもう一杯牛乳を飲んだ。


第239話終わりましたね。はい、イチャイチャは満足しきるまで書きます。つまりまだ満足しきっていないということですね!お楽しみに!

次回は、14日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」という方はぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!

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