第194話.テストの魔の手
修学旅行の班が決まって、行き先も知らされて、いよいよ本格的に修学旅行が近付いてきたなぁ、と思う今日。私はどうしようもなく辛い現実と対峙しなくてはならなかった。
苦しくて辛くて、逃げ出したくもなる。
嫌で嫌で、いっそのこと現実逃避でもしてやろうかとも思ってしまう。
「修学旅行の前に期末テストは聞いてないよ……」
そう期末テストの存在だ。
修学旅行に行くのは12月の後半。つまりは二学期の終わり辺りなので、その直前辺りに丁度テストがあるのだ。
去年のこの時期には、特にこれといった行事が無かったので気にも止めなかったが、確かに中学時代を振り返ってみても、この時期にテストはあった。
「はぁ……嫌だなぁ」
一応テストの2週間前ではあるが、高校生のテストではあまり油断が出来なくなってくる時期だ。
中学生の時のように、1週間前からのスタートでも間に合うのであれば全然遊んだりすることも可能。しかし、高校生の場合は範囲がそこそこ多い上に、教科も多い。そして単純に難しい。
このトリプルパンチを食らう羽目になるから、早めのうちに始めておかないと間に合わないのだ。
そして、2週間前に始めてさえいれば、後々楽になるという事も知ってはいるし、頭でも理解はしている。理解はしているのだが、どうにもやる気が起きない。
それは単純に2週間という期間が、テストの訪れを感じさせるには少し長い期間であるためだろう。所謂「あと2週間もあるし、大丈夫!間に合う間に合う!」という謎の余裕が、この期間内に生まれてしまうわけだ。
「Twitter見ちゃお……」
少しテストの事について考えるのをやめたくて、私は青い鳥のアイコンをタップした。画面にはフォローしている人のツイートや、フォロワーさんのRTなんかが流れてきている。
それらを流し目で見ながら、どんどん下にスワイプしていくと少し目を引くツイートがあった。
「何だろこれ。番組の広告?」
ツイートしていたのは音楽系の番組の公式Twitterアカウント。内容はとあるスリーピースガールズバンドのボーカルに、結成までの道程なんかを聞くというものらしい。
「ガールズバンド……」
そうボソッと呟きながら書かれているバンド名を見た。書いてあったのは日本語で「黒猫」。正式なフランス語でのバンド名で言えば「Chatnoir」。少し前のドラマの主題歌を担当して、一気に日本に名を轟かせたバンドだ。
少し前に刻にも勧めたからよく覚えている。
(というか、バンド名の印象からもっと怖い感じの人かと思ってたけど、思っていたよりも凄く綺麗な人だ)
ツイートに一緒に貼られていた、バンドメンバーが並んだ写真。そこの中央にいる人がおそらくボーカルアンドギターの人だ。
今まで曲ばかり聞いて、バンドの人達について知ろうとしてこなかったから、なんだか新鮮な気分になる。
「いつやるんだろこれ」
そう思い記載されている日時を見た。
「11月28日かぁ。……え?」
私は急いでスマホを開きカレンダーを確認する。
今日は土曜日の、
「11月28日だ。今日じゃん!?え、しかもあと少しで始まるの!?」
ツイートに一緒に記載されている時間帯は夜の10時から。今は、夜の9時50分。つまり、あと10分しかない。
「おっと、これは急がなければ!」
1人部屋の中でそんな事を言いながら私はスマホ片手に、部屋用のスリッパを履いて一階に降りた。
いざ行かん。テレビのあるリビングへ!
第194話終わりましたね。今回はテストについてとバンドについての内容が、今後に展開されやすいように書かれた繋ぎの回でした!ですが繋ぎと言っても書いてる身からすれば楽しいものなのです!
さてと次回は、16日です。お楽しみに!
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