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第144話.お揃いの部屋着

 部屋に入ると、ベッドに腰かけてクッションを抱きしめながら座っている凛と目が合った。


「お、サイズピッタリだね」

「いや、俺も着てみてかなり驚いたんだけど。これびっくりするくらい俺のサイズにあってるんだわ」

「そーでしょー」


 凛はそう言うと、満足そうな笑みにプラスしてドヤ顔も追加された。


「実はね今刻くんが着ている服達と今僕が着ているのは種類が同じものなんだよ!」

「ほ、ほう?」

「何を言っているのかよく分からないって顔してるね」

「いや、実際よく分からんし」


 凛の持ち物なのだから同じ種類の服が何種類かあっても、決しておかしなことではない。なんなら、同じ種類の服を何パターンも用意して毎日気分によって変えてても不思議ではない。

 もう一度凛の服装を見てみると、確かに同じブランドということは確認できた。だが、そこで一つ違和感に気が付く。


「あれ、凛の着てる服って凛のサイズにピッタリだよな?」

「そうだよ〜」

「でもって、この俺のサイズにピッタリなのも凛のものだよな」

「Yes!」


 やはりおかしい。明らかにおかしい。

 俺と凛ではそれなりに体格の差がある。だから同じサイズのものを本来どちらもピッタリのサイズで着こなすことなど不可能なはずなのだ。

 なのに、今はその矛盾が目に見える形で成立してしまっている。ここから何となく分かる事、というか現実に起こりうる範囲内での事とは……。


「これってもしかして初めから俺が着るように用意されてたか?」


 そう言うと凛は指をパチンと鳴らして「ビンゴ!」と言った。

 だが正解したからと言って、凛が俺用に用意した理由までが分かるわけではない。


「えっと、何のために?」


 恐る恐る聞くと凛は豊満な胸を反らしながらコホンとわざとらしく咳き込んだ。


「理由は簡単!」


 凛はそう言うとクローゼットを開けなにやら漁り始めた。

 そしてものの数十秒で、俺と凛が着ている服と同じ種類の物がさらに2人分取り出される。

 その服についても少し気になり、目線で凛に説明を促した。


「これはね、華山さんと蒼ちゃんがうちに泊まりに来た時の服だよ!」

「華山と空宮の?」


 そう言うと凛は「そうだよ」と言って頷く。


「実はね、刻くん抜きで何回かPhotoClub女子だけのお泊まり会ってのをやったことがあるの。その時に各家にそれぞれの部屋着みたいなのがあったら便利かなって話になって、そこから同じ種類の服が何種類か家にあるようになったんだよ」

「そういう事か。でもそれなら俺の分が凛の家にあるのっておかしくないか?」


 そう言うと凛は大きなクリっとした目を丸くさせてこちらを見てくる。


「だってさ考えてみろ?そもそも俺が凛とかの女子の家に泊まる事がほとんど無くないか?」


 至極真っ当な事を言ったつもりだ。男子が女子の家に泊まるということ自体、そういう関係になっているか、親の許可が出てるかのどちらかぐらいなわけであって。


「うーん、今思えば確かにそうなんだけどね?でもこれをさネットで買う時につい刻くんを頭数に入れちゃったんだよ。PhotoClubって何人だったかな〜て考え無しに選んでたらね」

「おい!?普通そんな間違いあるか!?」


 そう言うと凛はくつくつと笑いながら「でも、これのおかげで何とか風邪をひかずにすんでるわけだし、結果オーライだよ!」とそう言った。

 確かにそれを言われると俺は何も言えない。



✲✲✲



 凛はあらかじめ用意しておいたらしい小型の薄型テレビの電源をつけると、早速今回のメインイベントアニメ鑑賞を始めた。


「刻くんは何か観たいものある?」


 そう聞かれてひとしきり頭の中を逡巡させてみるが、特に思いつかなかったので首を横に振る。


「そう言う凛こそ何か観たいものないのか?むしろ俺は今日凛が観たいもの一緒に観る日だって勝手に思ってたんだけど」

「うーん、そうだねぇ。僕が見たいものか」


 凛はそのまま腕を組んでしばらく動かなくなってしまう。


「大丈夫か?」


 そう声をかけると凛はパッとこちらを向く。


「どうしよう」

「ん?」

「見たいものが多すぎて何から見たらいいのか分からない」

「あー、そういうことね。それなら全部見ればいいんじゃないのか?」


 俺がそう言うと、凛は少し心配そうな視線をこちらに送ってくる。


「かなり時間かかっちゃうかもしれないよ?それこそ何時になるか分からないし」

「そんなこと別に、凛が良ければ俺はいつまででもいいぞ?むしろ初めからそのつもりで来てたわけだからな」


 そう言うと凛は目を輝かせ、そして同時に少し頬も赤らめた。

 そしてクイッと俺の裾を引っ張ってくる。


「じ、じゃあ、その……今日は1日よろしくお願いします」

「お願いされました」


 そう返すと凛はふっと破顔させた。

 その笑顔はすごく柔らかく見ているこちらまで和む。


第144話終わりましたね。前々回辺りから次回は甘くする、次回こそはと言っておりましたが、まぁ、今回も次回から甘くなります!としか言えませんよね。というのも、甘々な展開に入る前の描写というか流れを書いておきたかったんですよ。ですがご安心を!書きたい話の流れは全て書きました!ついに甘々に入れます!僕自身早く描きたくて仕方がありません!!!

さてと次回は、8日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」「三度目の正直だぞ?」という人はぜひブックマークと下の☆から評価の方をお願いしますね!

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