表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/700

第136話.ショッピングモール

 スニーカーを履き靴紐を結んでトントンっとつま先を床に当てると、玄関の扉を開いて外に出た。玄関扉の鍵を閉めると空宮宅がある方向に歩き始める。空は青が目立っていてとても綺麗だ。

 しばらく歩くと、玄関の前で両手にバッグを持って立っている空宮がいる。服装は白のTシャツに、ノースリーブの黒のワンピースを上から着ていた。白と黒のコントラストがよく映えている。


「あ、刻ー!」


 こちらに気付いた空宮は俺の方を向いて大きく手を振ってきた。


「おう、おはよう」

「うん、おはよう!」


 笑顔でそう言うと俺の方にタタタッと近づいてくる。


「じゃあ、行こっか!」

「だな」


 そう返すと空宮の横に立ち直し駅まで歩き始めた。空宮は普段履くことの少ない厚底のスニーカーを履いているためか、いつもよりも少しだけ歩幅が小さい。ただ、厚底なので目線は俺にだいぶ近付いている。


「このスニーカー可愛いけど靴底が高いからちょっと歩きにくい」


 そう言いながらテクテクと歩いている。その姿が少しペンギンみたいで可愛かった。


「何でニヤニヤしてるの?」

「いや、別に」


 空宮から目を逸らしながらそう返す。するとそれが露骨すぎたのか空宮は俺の肩をツンツンっとつつきながら「おーい、こっち見ろー?」と言ってきた。


(今向けるわけないだろ。まだ顔が緩んだままなのに)


 そう思いながら少しだけ歩くペースを上げる。今の空宮は慣れないスニーカーのせいで、そこまでスピードを出すことが出来ないからこれで一時的に逃れられるはずだ。


「あ!逃げるなんで卑怯だぞ!」

「俺の作戦勝ち」

「何が作戦勝ちだー!」


 空宮はそう言って、今出せる精一杯のスピードで俺を追いかけてきた。しかしというのか、やはりというのか、普段履きなれていないスニーカーを履いている空宮は案の定躓いてしまう。


「わっ!」


 空宮がそう言ったのを聞いた俺は気付いたら勝手に動いていた。


「っと。大丈夫か?」

「う、うん。ありがと……」


 空宮を正面から抱きかかえる形で支えていたので、空宮をしっかり立たせた後に俺も体勢を直した。そして同時に空宮の顔を見てみると頬が赤く上気している。


「何でそんなに顔赤いんだ?暑い?」


 そう聞くと空宮は「う、うるさいっ!」と言ってスタスタと歩き始めてしまった。俺もその空宮に追いつくべく少しだけ小走りで駆け寄る。


「それで、今日はumieの方にショッピングで良かったよな?」

「うん。umieで服見て本屋さんにも寄ってその後にフードコートでお昼休憩した後に映画だね」

「予定たっぷりだな」


 空宮は笑顔を浮かべながら「だね」と俺に笑いかけてきた。


「楽しみだな〜」

「それは良かった。でもショッピングの相手が俺でよかったのか?華山とか凛とか、まぁ俺を誘った時よりも後に入ってきたけど江草とか誘えばもっと仲を深めたりも出来ただろうに」


 そう言うと分かりやすく頬を膨らませて、何やらブツブツと呟き始めた。


「ユウ達と行っても楽しいだろうけど、刻と行くからこそ意味があるのに。刻を独り占めしたいだけなのに。この鈍感野郎め……」

「ほっぺた膨らまして何言ってんだ?」


 尋ねると空宮は相変わらず頬を膨らませたまま「何でもないよーだ」と言ってそのまま歩き続ける。


「何でもないのかよ。まぁ、いいけど」


 そう言って切り替えると、見えてきた駅の改札に向かって歩みをさらに進めた。



✲✲✲



 JR神戸駅に着くと俺達は一度地下に降りてからしばらく歩き、そして地上に出てきた。

 休日の午前という事もあってか、神戸の街は人で賑わっている。


「あ、あそこだね」


 空宮は大きくumieと書かれた看板を指さすとそう言った。


「じゃあ行くか」

「うん!」


 俺達はそう言うと歩き始める。周りには子供連れの夫婦に中学生くらいの学生、あとは見るからにラブラブなカップルなんかが沢山歩いていた。


「ねぇ刻」

「ん?」

「私達もあのカップルみたく手繋いじゃう?」


 空宮はニヤニヤしながら俺に提案してきた。


「何でだよ」

「何でかと聞かれれば、周りにいる男女はだいたい手を繋いで歩いてるからそれに合わせとこう、的な?」

「はぁ……」


 少しため息を着くと、トスッと空宮の頭に軽めのチョップを一発入れておく。


「痛てっ……。もー、何すんのさ」


 空宮は頭をさすさすと擦りながら俺にそう言ってきた。


「手、繋ぎたいんなら好きなやつとでも繋いどけー」


 そうとだけ言うとumieのショッピングモールに入る。すると空宮は「あ、ちょっと待ってよ!」と言いながら急いで俺に着いてきた。そして空宮は俺の後ろに着くとまた何やらボソボソと言っている。


(今日は何かボソボソ言うこと多くないですかね?)


「私の好きな人は刻だってのに……ほんっともう鈍感なんだよなぁ」


 結局空宮が何を言っているのか聞き取れないまま、歩き続けた。


第136話終わりましたね。お話を書く時に今回みたく空宮達が私服で出てくる回があるんですけど、そういう時に僕のファションの知識の無さに毎回後悔しますね。もう毎回Google先生を開いて調べまくりですよ。

さてと次回は、22日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」「空宮可愛い!」という人はブックマークと下の☆から評価の方をお願いしますね!作者の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ