第127話.3人の晩ご飯
俺と現の話し声がうるさかったのかは定かではないが、ソファの上ですやすやと気持ち良さそうに寝ていた空宮がむくりとタオルケットをのけながら起き上がった。
「ふあぁー……」
空宮は口元に手を当てながら欠伸をすると、俺と現の方を目を擦りながら見た。
「あれ?現ちゃんだ。おかえり」
「ただいまー蒼姉!」
現はそう言うと空宮に抱き着きに行く。
(なんだか仲良し姉妹に見えるな。俺が本当の兄だけど)
空宮は抱き着いてきた現をしっかりと抱きとめると「甘えん坊さんだね〜」と言いながら頭を撫でた。
「ふっ、現言われてるぞ」
そう言うと現は頭を撫でられるのが気持ちいいのか、穏やかな表情を浮かべたまま「蒼姉に言われる分にはまだいいんだよ〜」と言ってくる。
「蒼姉は晩ご飯食べてくの?」
「んー、特には考えてなかったけど。どうしよっかな」
「なら食べていきなよ。刻兄も別にいいでしょ?」
現にそう聞かれたので軽く頷く。
「別に空宮がいいなら俺はいいぞ」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「やったー!」
空宮がそう言うと現は両手を上げて喜ぶ。
その様子は見ていてとても微笑ましい。
✲✲✲
母親が今日は夜遅くまでの仕事でかつ父親は1週間の出張なので晩ご飯は俺と現、そして空宮の3人で食べた。
昼は空宮が全部作ってくれたが、晩ご飯は俺はもちろん現も手伝ったのでかなりスムーズに作業が進んだ。
「ふぃー。蒼姉の作るご飯美味しいね〜」
満足気な笑みを浮かべながらそう言った。
「ふふっ、ありがと」
現にそう言われて素直に嬉しそうな顔をする。
「もう毎日作って欲しいくらいだよ。刻兄ってばパスタとかしか作れないからさ、私が学校から帰ってくるの遅くなって料理作るの手伝えない時は全部パスタになるんだよ?もうそろそろ飽きちゃった」
「なんかごめんね」
少しションボリしながら空宮はそう言う。
(パスタ美味しいじゃん。茹でたらできるんだしさ。いいじゃん)
そんな事を考えていると空宮が「じゃあ」と言って話を切り出した。
「もし、おばさんが帰り遅くなったりしたら私がご飯作りに来ようか?」
そう言われて思わず驚いてしまう。
「いやいや、そんな事のためだけに来るのもめんどくさくないか?」
「そうかな?別に私には大した負担はかからないと思うけど。慣れてるし」
「そういう問題ではない気もするけど」
俺と空宮がそんな感じで話をしていると、現が話に割り込んでくる。
「まぁまぁ刻兄よ。蒼姉がこう言ってくれてるんだからここはお願いしましょうぞ?」
「でも、大変なのは空宮だぞ?」
そう言うと空宮がまた「私は慣れてる!」とだけ言った。
俺が受け入れさえしてしまえば丸く収まるのか、そう思い「はぁ……」と軽く息を吐くと「分かった」と言った。
「空宮後悔しても知らないぞ?」
空宮は慎ましやかな胸を反らせながら、
「後悔なんてするもんか!」
と元気に笑って言った。
第127話終わりましたね。空宮の料理食べてみたいんですよね。空宮という存在を作り出したのは僕なんですけどね。
さてと次回は、4日です。お楽しみに!
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