第117話.凛のお願い
華山のクラスでご飯を軽く食べた後、華山と少しだけ言葉を交わし、そのまま流れるように自分のクラスへ戻った。
「おかえり」
戻るとちょうど教室から出てきた空宮と出くわす。
「おう」
「何か見てきたー?」
そう聞かれて華山のクラスの事を話す。すると空宮は興味津々の目で俺の話を聞いていた。
「ユウの猫耳姿っ!見てみたいっ!」
「見てくればいいんじゃないか?」
「うーん、見に行きたいんだけどね、でもまだ劇の出番があるしどうしよっかな」
「劇は何時からだ?」
そう聞くと空宮はスマホを取り出して時間を確認する。
「えっとね、今からだいたい20分後に始まるからもう移動だね」
「なら、劇が終わった後でも十分間に合うんじゃないか?」
「そうかな?」
「そうだろ」
言うと空宮は「そっかー」と言った後に大きく頷いた。
「よしっ、じゃあ刻のその言葉を信じて劇の後にユウのクラスに行ってくるよ!」
「おう、そうしろ」
「うん!じゃあ、私行くね!」
空宮はそう言うと俺に手を振りながら衣装を着替えに行く。
「頑張ってこいよ」
空宮の背中に向けてそう言うと、空宮は少しだけこちらを向き、笑顔を浮かべてピースサインを送ってきた。それを見た俺も空宮に習ってピースサインを返す。
✲✲✲
淡々と受付の仕事をこなしていると、トントンと後ろから肩を叩かれる。俺は首だけ後ろに向けると、視界に入ったのは綺麗な金色の髪の毛。
「凛か。どうしたんだ?」
「あの、お願いがあるんだけど……」
「うん?お願い?」
そう言われて話を聞く姿勢になる。
凛からのお願いってなんだろ。
「うん。あのね、その、僕も文化祭回りたいなーって思ってさ……」
凛は少し申し訳なさそうにそう言った。
だが俺にはなぜそんな表情をするのかは分からない。
「別に行ってもいいぞ?俺が店番するし」
そう言うと凛はさらに申し訳なさそうな顔をした。
(あれ、ここって喜ぶとこじゃないの?)
そう思いながらも凛が話すのを待つ。
「あのね?店番は濱崎くんと山下さんがするって言ってくれたの」
「あぁそう?」
「うん、でね濱崎くん達が店番する代わりに条件を出してきたんだよ」
「条件?」
俺は疑問に思いながら、視線でその条件がなんなのか凛に話すように促した。
「えっと、その条件っていうのがね誰か男の子と2人で文化祭回ってこいっていうものなの」
「それで、俺に着いてきて欲しいって感じ?」
「う、うん……」
俺がそう聞くと凛は頬を赤くしながらこくりと頷いた。
(そんなに赤くなられると俺もなんだか恥ずかしいんだけど)
俺はそう思いながらも頷いた。
「分かったよ。着いて行ってやる」
「あ、ありがとう!」
「でも、その間の受付は誰がするんだ?」
凛はその事はご心配なくと言う様な表情を浮かべて話し始めた。
「その間の雑用受付諸々は灯崎くんがやってくれるんだって!」
「お、おう……」
(なんか、灯崎ごめんな?)
心の中で灯崎に謝りながら凛と一緒に受付場を離れた。
「で、どこに行きたいとかある?」
そう聞くと凛は少し悩んだ後に「あっ」と言いビシッと指をさした。指さした先には水晶玉の絵が描かれているポスターが貼ってあった。
「刻くん!一緒に占いの館に行こう!」
「占いの館?」
「うん!なんか楽しそうじゃない?」
「まぁ確かに」
(楽しそうではあるけども、何を占うんだろ)
気になっていると凛が俺の手を取って歩き始めた。
「ほらっ、行こっ!」
「お、おう」
俺は凛の勢いに少し圧されながら着いて行った。
第117話終わりましたね。皆さんは凛みたいに可愛い女の子にお願い事されたらどうしますか?僕は速攻OKですね。
さてと次回は、15日です。お楽しみに!
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