表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/700

第102話.レディーファースト

 灘駅に着くと改札を抜け駅のホームに降りた。

 凛が灘の次にあたる摩耶で降り、華山がさらにその次の六甲道。そして俺と空宮はさらに数駅行った摂津本山で降りるので、みんな途中までは一緒だ。


「次の電車まであと5分かー」


 空宮はそう言いながら、近くにあったベンチにカバンを膝に乗せながら座る。


「凛とユウも座ろっ!あ、刻は男の子だから立っててね」


 空宮は凛と華山を誘った後に付け加えるかのようにそう言う。


「分かってるよ」


 ここで無理やり俺が座る理由も特にないので、俺はそう素直に返した。


(実際問題座るほど疲れてもないし、それに柱に背中をもたれさるだけでも結構楽だからな)


「本当に刻くん座らなくてもいい?別に僕は立っててもいいけど?」

「そうですね。鏡坂くんも遠慮せずに、私が立ちますので凛さんと鏡坂くんは座ってゆっくりしてください」


 凛と華山は俺の方を少し申し訳なさそうにしながら見てそう言ってきた。2人の目には悪意などなく、宿っているのは純粋な良心のみ。それが逆にキツかったりもする。


(あれ?俺ってそんなに体力ないキャラで安定してきてるのかな。少し心配)


 少しでも体力無いキャラを払拭するために、俺は働きかけ始めた。


「いや、別に俺座るほど疲れてないし。そもそもレディーファーストってもんがあるんだからさ、それに則って動いてるだけだよ。だから気にするな」

「そうですか?」


 そう言うと華山は元々浮かべていた申し訳なさそうな表情を、さらに申し訳なさそうにした。


「刻くんがレディー……ファースト……ぷッ、あっははは!」


 華山の方を見ていると、隣でいきなり凛がボソッと言ったかと思えばいきなり大声で笑いだす。


「え、どうした?」


 俺は思わずそう尋ねてしまった。

 凛は少しお腹を抑えながら喋り始める。


「い、いや、ごめんね?刻くんがレ、レディーファーストって……ぷッ」

「おいおい、俺そんなおかしいこと言ってないよね?ね!?」

「いや、刻にしてはおかしいこと言ってたかも」


 必死におかしくないことを主張しようとしていると、空宮からの増援ではなく凛サイドに力が傾いてしまった。


「だってほら、刻ってレディーファーストって感じしないし。あ、気を遣わないってことじゃないよ?ただそういうことを意識してやってるんじゃなくて、無意識下と言うか、当たり前の事としてやってるってイメージの方が強いから」


 空宮にそう言われて「確かに」と少し納得する。

 事実、俺はあまりレディーファーストどうこうについては気にしない。それこそ空宮が言ったように無意識下で色々動いてたりするんだろう。

 ただ今回レディーファーストと言う言葉を使ったのは、体力が無いキャラって言うのを払拭するための説明に使っただけであって。


(……ってあれ?つまり結局は原因って俺にあるんじゃね?)


 納得すると同時に、事の発端にも気がついてしまった。

 恐らくその事については空宮達は気づいていないようなので、俺は誤魔化しきってしまう路線に入る。


「あ、電車来たみたいだな」


 特に何も見ずに適当にそう言うと空宮達はベンチから立ち上がった。


(頼む。はったりでも何でもいい。今この状況を抜け出すための、もしくはこの状況から少しでも逸れる鍵となってくれ)


 俺は祈りようにそう思いながら電車が来たかを見る。


「あ」


 俺が顔を出して見えたのはヘッドライトが点いた電車の頭。

 つまりは俺のただのはったりが、真実にへと進化を遂げたのだ。



✲✲✲



「刻さっきは焦ってたね」


 凛と華山が降りた後の電車の中で俺と空宮は話していた。


「別に焦ってなんかいないし」

「嘘だ〜、だって刻が焦った時に出るくせがでてたよ?」


 俺は空宮からそう言われて驚いてしまった。

 空宮が俺のくせを知っていたことにもそうだが、何よりも俺にそんなくせがあったこと自体に驚いた。


「え、どんなくせ?」


 俺がそう聞くと空宮は俺の真似をするように実演してくれる。


「えっとね、刻は焦った時ねここら辺をね人差し指で3回いっつも掻いてる」


 空宮は白い指を自身の首筋に持っていきながら俺の真似をした。

 俺の真似をしているとはいえ、やはり実際はやたらと可愛い女の子。日常生活でも普通にするような行動が、白い肌と白い指で相まって、官能的にすら見えた。


「ち、ちょっと……」


 俺が空宮の首筋をじっと見ていると空宮はそこを隠すようにしながら喋り始めた。


「見すぎだってば」

「あ、ああっ!すまん」

「刻のエッチ。恥ずかしいから気をつけてね?」

「別にエッチくはないけどすまん」


 俺達はそんなやり取りをパッと済ませると、お互い別のところを見てしまう。

 ただ目をそらす直前に俺はある一つのものが見えた。

 白い肌がほんのりと赤くなってピンク色になっている空宮の頬を。


第102話終わりましたね。今回の話とは全く関係ないですけど、皆さんヒーローって好きですか?僕は大好きです。カッコイイですから。そんなヒーローというジャンルの中で一際目を見張るものと言えばそう!MARVELですね。いやー、アイアンマンとかスパイダーマン見たいです。

さてと次回は、15日です。お楽しみに!

それとブックマークと☆もお願いしますね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ