魔法使い兼ハンター(廃業) <下>
ののと結衣。
2人の出会いがどんな日常になっていくのか…
とは言ってもちょっと不思議な日常なだけで
急展開!みたいな物はたぶんありません。
彼女達の日常が癒しの1つになれば、と思うばかりです。
それから、私は結衣と色んなことを話した。
自分の生い立ちや今までどんな暮らしをしたのか、どんなものを見てきたか。
結衣とは身長が同じくらい。
結衣は家族がいないらしい。
幼い頃に見知らぬお姉さんに引き取られ、そのお姉さんと7、8年前まで暮らしていたんだとか。
私がお母さんといたのもそれと同じくらい。
結衣は15歳らしい。
あれ?私、生まれてからの計算間違ってない?
「結衣の黒髪良いね。長くなくて、短め。」
「ののもその薄めの桃色似合ってる。長さもちょうど良い…」
「ところでさ、この冠の事分かる?昔からあるんだけど、この冠何に使う物か分からない。」
「私にも分からないな。関係無いかもしれないけど、ここ最近、魔法使いの副業にハンター始めたばかりなんだ。資格取って2日後に仕事廃業になったけど。」
「それって何か問題でもあったの?」
「いやいや、私が何かやらかした訳でも無くて、私の所属したギルドが全ハンターを解雇したんだ。…いや、それはちょっと説明違いだな。退職させたんだ。」
「まさか、経営……」
「違うよ。何故かギルドマスターが『この世界に平和が訪れたぞ!!』って。確かに悪事を働きそうな魔物はいなくなったけど…そういえば、ののは吸血鬼だったよね。まさか……人の血とか…吸うの?」
「私、人の血は吸わないよ。野菜ジュースで補ってるから大丈夫。500ml吸えば5年は持つよ!」
「へえ…じゃあ悪事を働いたことは無いんだ。」
「もし私が悪事を働いていたら?」
「煮込んで、シチューにするよ…」
「悪事働いて無くて良かった……」
「冗談だよ(笑)ののが、もしどんな事をしていても、私はののを助けるし、守るよ。」
「なんで…、なんでさっき会った吸血鬼にこんなに優しくしてくれるの?」
「私は別に優しくない。私の思ったことをしただけ。
私も、私のために動いた。もし、私が魔法使いじゃなくて、通りすがりにののと会っただけの、ただの通行人であっても私はののに同じことをするよ。」
「かけまして〜そのこころは!?」
「……ま、ふ、ふ、私がしたかっただけ!て言うか、なんで落語みたいな返しするんだよ!」
「ありがとね、結衣。」
「なっ……ののこそ、初対面の相手に心を開きすぎ!」
「私、外の人と面と向かって喋ったの初めて。だから仕方ないよ。」
「あっ、そう。私みたいな人ばかりじゃないから、今度から気をつけて。」
「うん、ありがと。あと、この冠に1つ思い当たる節があった。」
「何?」
「私はここに来る前、この冠で外の人と喋る機会があったんだけど、その時にこの冠から声が聞こえた。」
「へえ…インターホンみたいな機能もあるんだな。」
「それから、あと、もう2つ。」
「増えてるじゃん(笑)。で、他にどんな機能が?」
「2つ、頭に思い浮かんだものがあったんだ。1つは魔界での争いが終わること。もう1つはそこから出る事。」
「へえ〜……待って、今、魔界での争いが終わることって言ったよね?まさか…それって…倒す魔物が…」
「あっ!そ、そういうことか…ごめんね。」
「別に良いよ、大丈夫。こうして、ののと出会えたから良いよ。…それより、ののこそ大丈夫?野菜ジュースとか今持ってる?」
「城に忘れた…」
「じゃあ、買いに行こっか。」
こうして私たちの2人暮らしが始まる。
まだ、分からない事ばかり。
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