不戦、不勝、不敗 <下>
3話目です。
初閲覧の方は1話からの閲覧をオススメします。
引き続きの方はよろしくお願いします。
ここはどこ…
時空の流れのような何かに飲み込まれている。
私はどこに向かっているの…
命…夢…希望…どこから来てどこへ行く…
いや、そんなことよりも……
今度は寒い。寒いよ。
分からない。これがどこへ向かっていくのか。
地獄か天国か、この世かあの世か。
なんだか頭に違和感がある。
「これは…あの、冠?って、うわああああああ!?」
ストン。
地面に落ちた音だ。
少し勢いがあったのでおしりが痛い。
「ここは…」
見回すとここは夜。
周りにはテレビでしか見たことのないビル?が立ち並んでいる。どれも大きくて到底届かなそうだ。
「君…ちょっと署まで来てくれるかな?」
え、誰?署ってどこ?
とりあえず、一つだけ分かった。
「逃げるッ!!」
「待ちなさい!悪いようにはしないから!」
私は全力で走った。
そこに道標など無く、周りはただただ明るい。
家で引きこもっていた私は案外、自分に体力がある事を知った。
家にいた頃には全く出なかった汗が出てくる。
分からない。分からない。
とにかく、どこかへ行かなければ。
でも、どこに行けばいいかは分からない。
すると、違う声がした。
今度は全く声色が違った。
それは不思議で、耳からではなく頭に聞こえてきた。
「こっちにおいで。私はあなたを知る魔法使い。大丈夫、私もあっちにいたから。」
それは周りのどの灯よりも明るく見えた。
実際には見えてなんかいないけど。
その時、冠はまるで頷くようにカサカサっと音がした。
はたして、どんな出会いがののを待ち受けているのか…
「それは、ちょっと不思議な日常系」