30話§焔!2回目!
「お待たせー!」
「…あ、おはようございます」
私が予定通りに西風美神に着くと、恋君は既に着いていた。
…ちょっと待たせちゃったみたいだね…やっぱり、5分前行動するべきだったかぁ…。
恋君は黒いフード付きのパーカー姿で、小さめの肩掛けリュックを持ってスマホを弄ってる。
「行きましょ。」
「うん!」
恋君と一緒に、普段鬼永さんが居るって言っていた空き教室に向かう。
「あ、おはようございます!」
「おはようございます。」
「あ、春ちゃん、恋君おはよう。」
空き教室には、いっていた通り鬼永さんが居た。
「鬼永さん!持ってきたっすよ!」
ん…?聞いたことある声…特著的なっす語尾…
「あれ?木崎さん!」
「あ、春ちゃん…と、恋君じゃないっすか。」
「おはようございます。」
「どうしたんですか?こんな所で。」
なんで木崎さんがここに居るんだろう……あ、よく見ると、ダンジョン攻略課の人が来てる服と同じ服着てる!
って事は…。
「あぁ。木崎さんはダンジョン攻略課の職員になって貰ったのよ。因みに、今日のダンジョン攻略にも着いてきてもらうから。」
「成程!分かりました!木崎さん、又よろしくお願いしますねっ!」
人は多い方がいいし、木崎さんはランカーだもんね。
戦力upだよ!
「えっ!?…まぁ、自分もそろそろ入りたいと思ってましたし…わかったす!よろしくっす!」
「じゃあ、行きましょう。」
✿❀*❀✿
「そう言えば、あのメガネって結局何があったんですか?」
と、廊下の焔に続く穴を降りながら、恋君が思い出したように言った。
確かに、結局あの後何も分かってないかも。
「あぁ…あれね、付けてる間、暗闇でも、本のちょっと見えるみたいなのよ。」
「暗視ゴーグルみたいな物って事ですか?」
「そうね。一応マジックアイテムだから保管しているけど…あ、所有権は春ちゃん達よ。」
「…え、達って事は僕と木崎さんと春さんですか?」
「えぇ。」
ん?
それって、結局誰の何だろう。
私達は家族でもなんでもないし…うーん?
「俺は所有権要らないっす!それより、春ちゃんか恋君が持つべきっす!」
「あ、なら僕もパスで。春さんが持ってるでいいですよ。」
「え?いいの?」
いいのかなぁ。
貰っちゃって。
まぁ、くれるんだったら有難く貰っておこうっと!
「ありがとうございます!」
…そんな話をしながら歩いていると、急に目の前に火柱が立った。
「…こうやって湧くんだ。敵です。」
すると、恋君がそういった直後、火柱が消えて、火炎狼が現れた。
「1匹なら、私に任せてください!ちょっと練習したい事があるので!」
「分かった。」
「了解っす!」
「わかったわ。」
皆は、1歩引いてくれる。
一応、助けようと思えば助けられる距離。
私は焔の杖を構えて、魔法を発動する。
「『ウォーターボール』!」
あとはこれを、変形させる…!
ぐ、ぐぬぬ…
だめだぁ…本のちょっと歪になっただけで、別の形はならない。
私はあきらめて、飛び掛ってきている火炎狼にウォーターボールをぶつける。
まぁ、一撃だよ。
後悔があるとすれば…近くで倒したせいで、服が血塗れになったってことかな…はぁ、どうしよ。