17話✿実験と電話
まずは…ステータスによっての身体能力の違いを調べて見ようかな。
あ、そうそう。腕はケルベロスの毛皮と交換でレア度の高いポーションを貰って使った。
自分の腕が急に生えてくるって言うのはかなりグロかったけど、これからの人生で左腕がないのは困るから仕方ないね…。
使ってみた感想としては、飲んだ後凄い気持ち悪くなった。
吐き気も凄いし…あんまり使いたいとは思わないかな。
因みに、そのポーションは国が他のランカーから買い取ったものらしい。
低難易度ダンジョン攻略報酬だからレア度が高いって言っても入手難易度的にはケルベロスの素材の方が価値が高いらしくって、毛皮の余剰分はサポートの質を良くして貰えるように頼んだよっ!
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……変わってない。
色々…調べてみたんだけど。
あれから2時間くらい頑張って違いを調べたけど、収穫はほぼ無かった。
100m走16秒のタイムがギリギリ16秒切ってたりはしてたけど誤差の範囲だし…。
目に見えて変わってる所はなかった。
一応能力解放も使って試して見たけど、あれは下がってたりこれは上がってたりだから本当に誤差。
前に測ってから数ヶ月経ってるから、その分の変化しかないと思う。
おかしいな…ステータス的には初期値の4倍はあるはずだから、流石に変わってるはずなんだけど。
焔最下層とかは必死だったし、ボス戦に関しては、私ほぼ動いてないから分からないね…。
ま、まぁ、次行こう。魔法試して見ようかな。
うーん…なるべく被害が無い魔法…回復?かなぁ。
「取り敢えずダンジョン内では使えたけど…『ヒール』」
元々傷を負ってないから分からない!
多分、発動してると思う…若干光ったから。
…あ、そうだ。無機物にヒールを使ったらどうなるのかな?取り敢えずトライしようかな。
手頃な壊れかけの物ないかなー。
んー。思い出すんだ私っ!
「あ、梯子。あれ確か壊れかけだったよね」
はっ!と思い浮かんで手をポンッと叩く。
寝室にあったはず。取ってこよっ
よし。この壊れかけの今にも折れそうな梯子に
「『ヒール』」
…これは、どうなんだろ?淡く光ってはいる。光っては居るけど…変化無し、かな?
うーん、残念。これが出来たら物が壊れた時とかに使えそうだったのに…。
でもまぁ、取り敢えず多分魔法は使えるね。
なんでかは分からないけど…
…?そもそも、魔法ってなんだろ?
あれ、これ焔の185層に落ちた時も思ったっけ。
…うーん…魔法って何って言われてもなぁ…超常的な何かを起こす物?
でも、極論すれば回復魔法って自然治癒を早めてるだけな気も…
あ、電話が鳴ってる。誰からだろ?
「もしもし?何方ですか?」
『…星宮春か』
電話の向こうから機械音見たいな声が聞こえる。
…怪しい。なんだっけ、録音しておいた方がいいんだっけ?
取り敢えずスマホでやっとこうか。
「…はい、そうですが。ご用件は?」
『お前の弟と友達は預かった。』
「え?」
預かった…?
え、誘拐されたって事?
『返して欲しければ、16時に通報せずに1人で西風美神の体育倉庫に来い』
「どういう事!?何が目的なの!?」
…切られた。
どうしよう…どうしよう…通報するべき?いや、でも何されるか分からないか…。
誘拐されたのは閃と…友達って…恋君?それとも、美桜ちゃん?
え、えっと…取り敢えず誰かに相談するべきかな…どうしよう…
指定されたのが16時で今が14時前だから…まだ2時間ある。
焦っても帰って来ないし、一旦冷静になろう…。
…よし。
まずは、相手の目的を考えるのが最優先だね。
犯人は、最初に私かどうか確認して来た。
って言う事は、身代金目的の可能性は低い…と思う。
身代金目的なら、お父さんかお母さんに言うと思うし、特にお金を持って来いともいわれなかった。
それに、身代金なら私の友達を攫う意味が無い。
って事は…ダンジョン関係か。
考えられるのは、私の力を利用しようとしているか、焔の杖とかケルベロスの魔石を奪おうとしている…とか?
他には、情報を聞き出そうとしているとか、レナについてとか…くらいかな。
なら、アイテムを奪おうとしてる場合以外はいきなり殺されるって事はないと…思う。
私の力を利用しようとしてるなら、寧ろ活かしておいた方が言い方は悪いけど使い道があるし、
情報を聞き出すにしても、閃達を殺したら私が暴走する可能性もある。
なるべく被害を出さない為にも、呼び出したら即殺害は無いと思う。
…あ、まだ、本当に攫われたか確認してないじゃん!もしかしたらハッタリの可能性もある。
取り敢えず、閃、美桜ちゃん、恋君には掛けておこう。
まず、閃。
…出て下さい!
……。
…出てくれないか…。
もしかしたら電源が切れてるだけかもしれないし…美桜ちゃんに掛けてみようかな。
…美桜ちゃんも駄目か…美桜ちゃんは割と几帳面だから、スマホの電池がない可能性は低い。
…。
れ、恋君にかけてみよう。
「…。」
『あ、もしもし?』
繋がった!
「もしもし、恋君!今大丈夫かな!?」
『あ、はい。大丈夫です。どうしました?焦ってるみたいですけど』
「そ、それがね!」
…あれ、これ…言っていいのかな?
通報はするなって言ってたけど、誰かに話すなとは言われてない筈…。
いや、待って。
そもそも、友達を事件に巻き込んだら駄目だね…
『…大丈夫ですか?』
恋君が、言葉が止まった私を心配したように声をかけてくる。
「あ、いや…なんでもないや、あはは…」
流石に怪しいかな。
『……わかりました。それじゃあ。』
「うん。ごめんね、急に。」
『大丈夫ですよ』
…そうだよ。何友達を巻き込もうとしてるんだ私。
相談するならせめて大人の人だよね。お母さんとお父さんには迷惑掛けられないし…鬼永さんとか水浦さんに相談するべきかな。