表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

03

よろしくお願いします<(_ _)>

 

 代々名高い騎士を輩出してきたアルバート公爵家に子供が生まれようとしていた。


「おめでとうございます!男の子ですよ!!」


 赤ちゃんの泣き声が響き渡る中、侍女は泣きながら言った。


「そう…よかったわ…。」


 とてもとても弱々しい浅い呼吸。


 銀髪シルバーブロンドにアメジストのような瞳を持つ美しい女性は息絶えだえていた。それもそのはず、女性の体は子供を産める体ではなかった。それでも、どうしても産みたいと意地を通し、産んだのだ。


「名前は…そうね…ゴホゴホッ」


「もういい喋るな。」


 金髪に深い海のような瞳を持ち、キリッと睨んでるように見える眼差しには、確かに女性を苦しそうな顔で見ていた。


「あなたと私の名前を合わせて…リリアスなんて…どうかしら…?」


「あぁ!いい名前だよ!!だから、まだ、目を閉じないでくれ!!」


 夫は懇願するように、手を両手で包み込み、握りしめた。


「あの子…リリアスをよろしくね…。」


 っ!!


 一瞬時が止まったようだった。女神のような神々しい微笑みだった。


「あぁ、分かった!!」


 安心したかのようにゆっくりと目を閉じ、もう開くことはなかった。


 リリアスは母のような銀髪(シルバーブロンド)にアメジストよりも少し青みがかった瞳を持つ美少年に育った。

 それはもう、大事に大事に育てられた。


 しかし、そんな日々は長くは続かなかった。


 ある日突然流行病にかかって、倒れてしまったのだ。尽力を尽くしたが5歳になる前に亡くなってしまった。


「リリアーナ、リリアス…。」


 ユリウスは失意の念に浸っていた。そこから自分のことは二の次のように仕事仕事仕事…。いつか体を壊してしまうのではないかと危ぶまれたぐらいだ。


 1年が過ぎようとした時、公爵家から両親がやってきた。

 もう嫁はとる気はないのかと。


 ユリウスは即答した。あるわけが無いと。


 はぁと大きなため息を吐くと子供がいないのはまずいので孤児院から引き取ってきなさいと言われた。


「良いのですか?」


 ユリウスは素直に聞き返した。


「言いも悪いも嫁をとる気がないのならしょうがないじゃない!逆にすぐに嫁が欲しいと言ったら追い出していたところよ!」


 母上は怒ったような悲しいような声を出しながら言った。


 そう、リリアーナはユリウス両親にとてもとても愛されていた。実の娘のように。リリアスも同じく。


 次の日の朝、ユリウスを乗せた馬車はゆっくりと孤児院に向かって走り出した。








ありがとうございました<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ