03
よろしくお願いします<(_ _)>
代々名高い騎士を輩出してきたアルバート公爵家に子供が生まれようとしていた。
「おめでとうございます!男の子ですよ!!」
赤ちゃんの泣き声が響き渡る中、侍女は泣きながら言った。
「そう…よかったわ…。」
とてもとても弱々しい浅い呼吸。
銀髪にアメジストのような瞳を持つ美しい女性は息絶えだえていた。それもそのはず、女性の体は子供を産める体ではなかった。それでも、どうしても産みたいと意地を通し、産んだのだ。
「名前は…そうね…ゴホゴホッ」
「もういい喋るな。」
金髪に深い海のような瞳を持ち、キリッと睨んでるように見える眼差しには、確かに女性を苦しそうな顔で見ていた。
「あなたと私の名前を合わせて…リリアスなんて…どうかしら…?」
「あぁ!いい名前だよ!!だから、まだ、目を閉じないでくれ!!」
夫は懇願するように、手を両手で包み込み、握りしめた。
「あの子…リリアスをよろしくね…。」
っ!!
一瞬時が止まったようだった。女神のような神々しい微笑みだった。
「あぁ、分かった!!」
安心したかのようにゆっくりと目を閉じ、もう開くことはなかった。
リリアスは母のような銀髪にアメジストよりも少し青みがかった瞳を持つ美少年に育った。
それはもう、大事に大事に育てられた。
しかし、そんな日々は長くは続かなかった。
ある日突然流行病にかかって、倒れてしまったのだ。尽力を尽くしたが5歳になる前に亡くなってしまった。
「リリアーナ、リリアス…。」
ユリウスは失意の念に浸っていた。そこから自分のことは二の次のように仕事仕事仕事…。いつか体を壊してしまうのではないかと危ぶまれたぐらいだ。
1年が過ぎようとした時、公爵家から両親がやってきた。
もう嫁はとる気はないのかと。
ユリウスは即答した。あるわけが無いと。
はぁと大きなため息を吐くと子供がいないのはまずいので孤児院から引き取ってきなさいと言われた。
「良いのですか?」
ユリウスは素直に聞き返した。
「言いも悪いも嫁をとる気がないのならしょうがないじゃない!逆にすぐに嫁が欲しいと言ったら追い出していたところよ!」
母上は怒ったような悲しいような声を出しながら言った。
そう、リリアーナはユリウス両親にとてもとても愛されていた。実の娘のように。リリアスも同じく。
次の日の朝、ユリウスを乗せた馬車はゆっくりと孤児院に向かって走り出した。
ありがとうございました<(_ _)>




