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よろしくお願いします!
「わぁーい、街だー!!」
ガタゴトガタゴト・・・。
揺れること約20分。早速街に着いた。少し庶民に溶け込めるよう地味目の服を着てナタリー、リリー、私の3人で来ていた。
何とナタリーは相当強いらしく戦うメイドなのだ!
―――私だってケビン先生に訓練して貰ってちょっとは強くなった・・・はず!!まだ褒めてもらったことはあまりないけどね!
ふと、とてもいい匂いがした。
くんくんくんと匂いを辿ると斜め前にあるお店から匂ってくるようだ。
「リリーみて!あそこの屋台美味しそうっ!」
「ふふふ、ほんとです」
目線の先にあるのは油がのって美味しそうな肉が串に刺され、食欲をそそる匂いが胃袋を刺激する屋台があった。ポケットに入っているお小遣いを握りしめ、突撃しようと走りかけた途端、首根っこを掴まれた。
「リリアス様、まずは仕立て屋に行ってからゆっくり回りましょう。そんな急がなくてもあのお肉は逃げませんよ」
「そんなぁ。おにくがぁ」
―――あんな私に食べてほしそうに見つめているのに・・・。
諦めきれなかったので、うるうるした目でナタリーを見つめる。
「・・・だめ?」
ぐっ、っと顔を顰め胸をおさえるナタリー。これはいけそうだと思った私はさらに追い打ちをかける。
「・・・どうしてもだめ・・・かな?」
顎の下で手を組み、うるうるおめめ+上目遣いのオプション付き。どうだ!!
「・・・いい、だ、ダメですっ!あと、リリアス様それはしばらく禁止です!」
ナタリーはふぅーと深呼吸をして、「危なかったわ」と呟いた。隣にいるリリーは口元を手で抑え、真っ赤にぷるぷると震えながら「かわわわわ」とよく分からない言葉を発し、悶えていた。
―――くっ、さすがナタリー、いけたと思ったのに・・・手強い。孤児院だとだいたいこれでいけたのに・・・
ガクッと肩を落とした。
もう一度屋台に視線を向け、また後でねと、名残惜しみながらもとぼとぼとみんなの後をおった。
読んでくださりありがとうございます。