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よろしくお願いしますm(_ _)m



 部屋に戻ると少しニヤニヤした顔のナタリーが待っていた。


 「まさか気づいていらっしゃらなかったなんて・・・リリアス様の言葉はさぞこたえたでしょう」


 いつもは冷静沈着なナタリーが笑いを堪えてる姿はとても珍しい。でもさすがにそれはないと思う。


 「もう、ナタリー。お父様に限ってそんなことあるはずないよ。あのなんでも完璧なお父様だよ?」


 全く検討はずれも珍しいと思いながらも、くすくすっと笑った。すると、ナタリーの顔がいきなり険しくなった。


 「・・・リリアス様。それは言ってはいけませんよ・・・。ひびの入ったところを集中攻撃するようなものです。粉々になってしまうかもしれません」


 「え?・・・うん」


 ―――どういう意味だろう・・・


 意味は分からなかったが、さっきとは違い、食い気味で言われたのが怖くて、すぐに頷いた。




 ◇◆◇


 一方その頃


 書斎でうなだれている人物がいた。


 「まさか、本当に気づかれていなかったとは・・・」


 「お前は俺の心を抉るのが楽しいのか・・・ジーク」


 「まさかっ!そんなことあるわけないですよ」


 俺の執事がくすくすと笑う。小さい頃からずっと支えてくれてきたため、兄弟のような仲だ。


 ―――しかし、何故今まで気づかなったのか。最近では少女のような可愛らしさがあると思っていたが、まさか女の子だったとは・・・



 「ああぁ!!!」


 机をバンッと叩き起き上がった。いきなり大声を出したのでジークは目を丸くして驚いていた。


 「どうされました?!」


 「もし、もしも結婚したら嫁いで行ってしまうっ!」


 「・・・はぁ。まぁ、そういうものですよね」


 「どうして冷静でいられるんだっ!」


 なぜ理解出来ないのかともう一度バンッと机を叩いた時、上にのっていたたくさんの書類が崩れ床に散らばった。


 中には重要な資料も含まれていたため、1枚1枚丁寧に確認していく。ジークにも手伝ってもらい、拾っていくと今まで聞いたことがないほど焦った声がした。


 「だ、だ、だだんなさま」


 「・・・?どうしたんだ。お前がそんな声を出すなんて」


 「・・・これを」そう言って出された紙を受け取った。


 書かれていたのは、騎士学校の入学案内の資料であった。特に何の変哲もないものだ。


 「これがどうしたというのだ?」


 「・・・この1番下の注意書きを読みましたか?」


 ふむふむなになに。


 注意書きには『入学条件は男子のみ。女子は禁制である。階級関係なく男子寮に入ること。』


 そう書かれていた。そんな当たり前のことになんの疑問があるのか分からなかった。


 「変なことはかいていないぞ?」


 「・・・もう忘れたのですか。リリアス様はお嬢様です。」



「・・・っ!!」



 ガーンっと頭を思いっきり殴られたかのような衝撃がやってきた。さーっと血の気が引いてきて顔が青色に変わる。


 ジークがちらっと手元の資料を除き、提出期限を確認した。


 「・・・でも出す前に気づいて良かったですね」


 まだ結構先の期限だったためほっとしたのか少し微笑んだ。しかし、私は笑えない。さっきよりもどんどん血が回らなくなっていき、ぷるぷると全身が震えてきた。私の様子の変化に気づいたのか心配そうな顔をしていた。


 「どうなされました?先程よりも顔色が悪いように見えます」



 「・・・・・・した」






 「え?」



 よく聞こえなかったのか聞き返す。



 「・・・昨日提出してしまった」


 「はあぁぁ?!」


 今まで聞いた事のない叫び声が響いた。


 昨日ちょうどこの資料を見ていて、どうせ行くことになるのだからと早め早めの行動が仇になってしまった。ちょうど今日、制服の寸法をはかり、1年後に向けて準備をさせようと仕立て屋に向かわせた。


 あまりのことで脳が考えることを放棄していた。


 「ど、どうすれば、ジークぅ」


 ―――そうだ!こんな時頼れるのは君しかいない!


 ときらきらと視線を送る。


 「ぐっ・・・取り消すことは?」


 「・・・不可能であろう」


 「はぁ、もうしょうがないですよ。正直にリリアス様にお願いしましょう」


 「・・・まて、少し時間を置こう。もしかして嫌われてしまうのではないかっ?!」


 「知りませんよ、もう」


 嫌われるのではないかとあわあわしている旦那様を見ていると2人が亡くなられた直後の様子とはうって変わり生き生きとしていた。


 ―――親バカになりましたね・・・


 幼なじみとして使える身として幸せそうな姿をみると嬉しかった。くすくすっと笑っていると笑われたことに気づいたのか怒り始めた。


 「笑うなぁ!!」


 リリアス様には完璧に仮面を被っているようですが、いつ剥がされることやら。そう遠くないな―――


 もう1度くすくすと笑った。



 ◇◆◇


 そんなことが書斎で起きてるとはつゆ知らず、リリアスは鼻歌を歌いながら準備をしていた。


 「ふふふーん。街だ〜!!」


 「ふふふ、そんなに楽しみなんですね」


 「もちろんだよ!!」


 リリーと目を合わせお互い笑った。


ありがとうございました!

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