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よろしくお願いしますm(_ _)m

 


 ダイニングルームにつくと父は既に紅茶を飲んでおり、私を見ると「おはよう」と微笑んだので「おはようございます」と返した。


 ―――絵になるなぁ・・・


 父の紅茶を飲む姿はうっとりするほど美しかった。窓から光が顔を照らし、動きの一つ一つが1枚の絵画のような洗練さだった。


 「早く食べないと冷めてしまうよ?」


 ぼーっと見つめていると優しく声をかけられた。ぱちっと現実に戻ってきた私は父の向かい側に座り、小さく「いただきます」と言ってから朝食を食べ始めた。


 「おお、そうだった。今日の午後は空いてるかい?」


 「?はい、今日は稽古もないですし、予定もありません」


 「それは良かった!そろそろ服を仕立てなくてはと思っていてね。街の服屋に仕立てておいで」


 「ほんといいの!?」


 「もちろんだよ。その服も小さくなってきたようだしね」


 その言葉を聞いた瞬間、ぱあっと視界が明るくなった。


 ―――やったっ!!!街だ!!!


 あまり出掛けることがない私にとってとても嬉しいことである。


 早く行きたい一心からか少し食べるペースをあげた。


 スープを飲もうとスプーンですくって口に運ぼうとした時、少し前かがみになったからか、ぱさーっと耳にかけていた髪が落ちてきた。邪魔だなぁと思いつつもすぐに耳にかけ、食事を再開した。


 父は私の髪が邪魔そうに見えたのか何かを思いついたかのように話しかけた。


 「ああ、そうだ。結構髪が伸びて邪魔だろう。ついでにきっておいで」


 もぐもぐもぐ。

 一度に口に入れすぎたのかなかなか呑み込めない。


 「・・・私もそう思うのですが」


 「ん?それなら切ればいいだろう?」


 デジャブだなぁと思いながらも先程あった会話を思い出した。


 「ナタリーとリリーが髪は女の命だってさっき怒られたばかりなんです」


 「あぁ、ナタリーは怒ると怖いからなぁ。私もよく怒られるよ・・・・・・ん?誰が女だって?」


 「わたひです」


 口の中にまだ食べ物が入っていたため、上手く喋れなかった。



 ・・・・・・。




 沈黙が続いたので会話が終わったのかと思い、大きな口でパンにかじりついた瞬間、


 いきなり、がたっと勢いよく音がなった。


 びくっと肩が震え、思わず口の中のものをすべて飲み込んでしまった。手元にあった慌てて水をのみ、ふぅーと一息ついた。危ない危ない。


 音がなっていた方をみた。父が座っていた場所だ。


 父の後ろで椅子が倒れていたので、どうやら勢いよく立ち上がった弾みで音がなったのだとわかった。


 「あははは、今日は耳がおかしいみたいだ。リリアスが女だって聞こえたぞ・・・」


 立ち上がった父は頭を抱えて高笑いを始めた。



 だ、大丈夫なのかな・・・ととても心配になった。



 ―――もしかして・・・



 「私は女ですけど・・・今まで過ごしてきて気づかなかったなんて言いませんよね?」


 まさかとは思ったがおそるおそる聞き返した。


 ぐはっと父がいきなり胸を抑えた。



 ―――えっ・・・



 いつもの父と違いすぎる言動に私の脳は追いつけなかった。


 「少し考える時間が必要だ・・・」


 そう言ってとぼとぼと部屋を出ていった。


 どうしたのか疑問に思ったが、街に行けることが嬉しすぎて頭の片隅にいってしまった。

 私も急いで食事を終え、街に行く準備をするため部屋に戻った。




ありがとうございましたm(_ _)m

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