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09

よろしくお願いしますm(_ _)m


「おはようございます」


「ん…おはよう」


 リリーが声を掛け、カーテンを開ける音で目が覚めた。


 最初はビクついていたリリーも2年経つとしっかりとした侍女になっていた。


 そう、この家にいて3年あまりが過ぎようとしていた。


 朝食をとるため起きようとしたが、身体中が痛い。


「痛たたたた…。」


「だ、大丈夫ですか?!」


「大丈夫だよ、ありがとう。」


 そう言いながらもベットに突っ伏したまま起き上がれない。


 心配そうに覗き込んでくれたリリーには悪いが、昨日ケビン先生に打たれた場所が痛いだけだ。


 毎日毎日先生にしごかれ続けられ、身体が悲鳴を上げていた。


 勉強は日に日に難易度が高くなっていった。さすがに高校辺りで少し戸惑ったが、予習してあったおかげで解くことが出来た。


 謎の微笑みは耐えることなく続き、めちゃくちゃ怖かったけどね!


 この世界の勉強はどんだけ難しいんだよ!と少し心配になったが最近やっと及第点を貰うことが出来た。


 問題は剣術だ。

 勉強だった時間もほとんど剣術に変わってしまった。


 最近は10本中4本ぐらい取れるようになったが、まぐれに等しい。


 どんだけ強いんだよ…はぁ…。


 思わずため息をついてしまう。


 今日も頑張ろう!と身体を持ち上げようとした時、パサーっと顔の横に髪がたれてきた。


 結構伸びたな…


 元々短髪だった髪は3年も経てば胸あたりまで来ていた。身体付きもだんだん丸みを帯びてきた。


 そろそろ邪魔になってきたし切ろうかな…?


 思い立ったが吉日、さっそくリリーを呼んだ。


「ねぇ、リリー。ハサミ貸してもらえる?」


「承知しました。少々お待ちください!」


 そう言って、すたたたたっと取りに行ってくれた。


「どうぞ」


「ありがとう!。」


 リリーからハサミを受け取り、早速切り始めようと準備を始めた。


「何に使われるのですか?」


「邪魔になってきたし、そろそろ髪を切ろうかなって!」


「えっ!今、なんとおっしゃいました?!」


「えっと、邪魔だし髪を切ろうかなっとね!」


「髪を切るとおっしゃいました?!」


「え、うん。そうだけど…」


 何か変なこと言ったかな?


 気にせず髪を1束持ち勢いよく切ろうとした瞬間、がっと腕を掴まれた。


「おやめ下さい!!!」


 っ!!!


 初めてのリリーの必死さに驚いて声も出なかった。


「せっかくの綺麗な御髪なのに切ってしまうなんて…」


 うぅ、そんな涙目で言われたら…


「じゃ、邪魔だし…」


「結べば良いのです!」


 ぐぬぬ


「わ、私結べないし…」


「私がやります!!」


「でも…「私にお任せ下さい!」」


「はぁ…」


 涙目に弱い私は結局、先に折れてしまった。


 そんなやり取りをしている時、ドアのノック音がした。


「おはようございます、リリアス様」


「おはよう、ナタリー」


 朝食の時間が過ぎてもあまりにも来ないため呼びに来てくれたのだ。


「リリー、朝からそんな大声を出してどうしたのですか」


「だって…」


「だってじゃ、ありませんよ」


 リリーはナタリーに怒られてしょぼーんと落ち込んでしまった。


 やばい!私のせいでリリーが怒られちゃうっ!


「リリーは悪くないよ!私が髪を切ろうとしたのを止めてくれただけだからね!」


 私の言葉を聞いた瞬間ナタリーの顔色が変わった。


 やっぱ親子だなぁと呑気に考えていた。


「まぁ!なんということでしょう!!」


 そんなに大きい声出さなくてもいいのに。髪ひとつで大袈裟な…。


「そんなことありません!」


 声に出てないはずなのに!きっと顔に出てしまっていたのだ。


「はぁ」


 思わずため息をはく。


「聞いているのですか?」


 そ、そんな怒らなくてもいいのにな…


「たかが、髪ひとつでそんな大袈裟な…」


「「髪は女の命ですよっ!!」」


「・・・。」


 どうやら私は一生髪が切れないのかもしれない…。

 しょぼんへにょんだよ。


 とぼとぼとナタリーとリリーの後ろを歩いて向かった。




読んでくださりありがとうございました!

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