七章 結界
結界 『スティッチの気付き』
Junior High School(中学校)時代の自らの失態で、同級の女生徒を自殺に追いやった。
その事でスティッチは新たな分野での破壊行為の術を知った。
University(大学)卒業までの数年間、Psychiatry(精神医学)を学び、Mental Disorder(精神障害)の起こるきっかけや、通常時の人の内面をAnalysis(精神分析)により自在に扱う事に始終した。
人は内側から“破壊”する事が可能である。
勿論彼は、過度な嫌がらせや悪意と力を武器にした圧迫を避けた。
教えてくれたのは、ウサギの耳を掴んだまま死んだ“彼女”だった。
スティッチは死んだ彼女に対して、愛情はおろか、性的欲求すら持ち合わせる事はなかった。
とは言え、異常欲求を持つ事以外は至って普通の勤勉な優等生であり、一般常識すら人よりも身に付けたのが早期だった彼は、極普通に……、或いはそれ以上に対人関係の在り方を理解していた。
故に、人が人に向ける“感情”の察知も早く、彼女が自分に対して好意以上の感情を持っている事に気付いていた。
恐らくは彼女よりも早く……。
生物学を熱心に学んでいた彼にとって、女性の人体構造には興味があり、特にSEXに関しては早くから関心を抱いていたので……、
破壊欲求とも性的欲求とも別の次元で、彼女の体は彼の知識獲得への興味対象であり、“物”として使用する価値があった。
彼にとってはウサギの飼育の延長のようなものである。
自らの欲求の為……ではなく、欲求のControl(操縦)の術の研究の為に己の才能を活かした。
スティッチは他者に咎められる“破壊行為”は極力避けていた。
ましてや白昼、衝動的に生物に手を掛けてしまったのは反省しうる材料になった。
精神力の抑止力を身に付けなければ破滅を産むのである。
より一層慎重さを重要視すると同時に、彼の意志による“破壊行為”とは少し違う形で、自ら破壊“される”道を選んだ彼女の行動は、彼に新たな開花をもたらした。
愛情や信頼とは、単に様々な状況下で自己分析した主観の結界である。
相手ありきではあるが、所詮は他者の本心すら推測にしかすぎない。
しかしその推測の材料が自分にとって重ければ重い程、心の中で真実に変わっていくと察知したのだ。
心の中を偽ってでも、その材料をうまく与えてやりさえすれば、他者は勝手に結界を張ってくれる。
「信じると云う事は脆い」
そしてその結界が破れた時、心は崩壊すると云う手段を得るのである。
後は如何に確固とした自覚があり、重く脆い結界を張らせるかが重要なだけであった。
幸いにしてスティッチには生まれ持った“容姿”と云う才能と、自らが自らの欲求の為に身に付けた“博識”と云う武器があった。
こうして進化を遂げたスティッチは、University(大学)で学んだ新たな知識と才能と武器を巧みに使用し、University(大学)在学中に早くも一人の女性を内側から破壊する事に成功した。




