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JUNK LAND【→】  作者: 笑夜
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後書き





『後書き』









人の欲と狂気は潜在的な位置に存在する。


“陰と陽”の“正と否”

この関係が不可思議でなく不可解だ。


─黒男の正義と偏った概念。


─スティッチの破壊癖と罪悪感。


─クレアの純心と依存、劣と悦。


─ノーラの社交性と自己中心的思考。


─吉行の虚無感と求愛願望。


─詩織の純愛と性欲。


─正人の鈍感力と無責任。


─サーの職癖の極。


─カムの先見の妙。



陰と陽が正と否と云う訳ではない。


しかし誰しもが心の中に陰陽を合わせ持ち、正否を区別しながら生きているような気がする。


意識して身に付ける事の出来ない“陰陽”が人を悩ませ苦しめるのではないだろうか。






黒男に正義を感じ、スティッチに嫌悪を抱いただろうか……


クレアや詩織に同情し、ノーラを軽蔑しただろうか……


吉行は……、正人は……


裁かれる罪人に人権を求めるだろうか……


JUNK LANDを定めた国家を野蛮国と罵るだろうか……



一番の加害者は?

一番の被害者は?



何に感情を移入し、何に共感したとしても不思議ではない。


どんな答えを感じたとしても不思議ではない。


陰と陽の正と否。


不可思議なのはその感情を生み出す人の世である。






捉え方は人それぞれ違う。


本作は読者の解釈に委ねた部分が多い。


作中で表現したかった事は、或いは伝えきれていないかも知れない。


いや、もしかしたら誤って伝わってしまっているかも知れない。


伝えたいばかりでは勿論ないが、伝われば良いなと思う反面、


その欠片も理解されない事も承知している。


それでも良い。


テーマとメッセージは受け手によって色を変える。


しかし自分はこの作品を描く間、エピソードやキャラクターの全てに肯定も否定も意識せずに居られた。


それは既に、表現しきれない沢山の解答を無意識に得ていたからではないかと思っている。






本作を描くにあたり、狂気や過激さをどの程度まで“抑え”ようかと常に思案した。


規定への考慮の為ではない。


最終章の悲惨な情景は、もっと残酷かつ凄惨な描写にするつもりであったが、敢えて留めたのは、JUNK LANDのモデルにした“シベリア”を掲載する為である。


勿論、世界史においてシベリアと匹敵、若しくはそれ以上の歴史的地獄は限りない。


その全てがフィクションではない。


世界のノンフィクションは、想像や創造の力よりも狂気に満ちている。


フィクション等足下にも及ばない、本当の“JUNK LAND”が数多く存在する。


青い隣の芝よりも、目もくれない黒い芝が存在する。





人の欲で歴史が造られ、歴史を踏み台にして性を向上させて行く。


何が正しいのか、何が間違っているのかはわからない。


ただ一つだけ明確に答えられる事は、


作中一言も語らなかった“夏風”。


彼女が一番の被害者であると云う事だ。


この解答が間違いではないと共に、こんな被害者がない世の中になればいいな。



それでも繰り返される愚行。




その先は【→】










世界感と信憑性を、極力現実と重ねて欲しい思いから、所々に差し込んだ堅い解説がイメージ材料にならなかった読者様には、読みづらさを与えてしまったかもわかりません。


一部設定や人物、団体、事例は史実や実在する物を使用していますが、本作の進行上、上記同様信憑性の材料として活用した次第で、物語とは一切関係しません。


あくまでもこの物語はフィクションです。




長期に渡りお付き合い頂けた読者様に、大きく感謝しています。






笑夜




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