最終章 Dead-End:1
Dead-End 『Prologue─プロローグ─』
スウェーデンのストックホルムに生まれた一人の実業家は、莫大な財産を得た。
男は傾きかけた父の事業を手伝い、軍を相手に商売をして、大儲けをした。
ニトログリセリンの実用化、ダイナマイトへの改良で、様々な用途への進歩に貢献した。
美談として残るその男の財産は、人類の進歩への貢献に現在も使用されている。
親族同士の醜い相続争いを経て……の話だ。
【アルフレッド・ノーベル】
彼の名を知らない者はいない。
彼が生前に愛した女の一人は、彼と出会った頃既に他に婚約者がいた。
彼女に求愛した彼であったが、女は結婚を機に彼の下から去って行った。
その女の婚約者は、著名な数学者であった。
現在、ノーベル賞には数学賞は存在しない。
彼が生前に愛した女の一人は、十八年もの間、彼と共にした。
彼は女に二百十八通もの手紙を残し、金品や別荘、豪華な衣服を買い与えた。
しかしその女は他の男の子供を宿し、彼の下から去って行った。
彼の死後、女はノーベル財団にこの残った二百十八通の手紙を高額で買い取らせ金を得た。
彼の持つ特許を、彼の知人は僅かに変更して、イギリスで自分の物として特許を取得した。
彼はそれに対して裁判を起こしたが敗訴している。
彼の名を冠した会社は現在も欧州に数社存在する。
ドイツにあるダイナマイト・ノーベル社は、対戦車兵器やライフル用の弾薬等、現在も兵器開発・製造を続けている。
彼自身も生前、武器製造工場を買い取り、武器製造業に進出し成功を果たしている。




