二一章 ANSWER:4
ANSWER 4
『もう一つの答え』
本来であれば、“情状酌量”が適用されてしかるべき事件である。
しかし真実がもし明かされていたのであれば、事件の根底をも揺るがす大事件なのだ。
皮肉にも、
世間に語られない別の“大罪”が吉行にはあった。
国家レベルの政策の遮断。
それが吉行の量刑の最たるものである。
抜けた穴の補充の為に回された“手”は世間が想像出来うる短絡的なものではなかった。
誰一人殺さなかった正人は、『覚醒剤取締法違反』の罪で裁かれるはずが、人生の大半を“生死を問われる”事に使った。
真実とはまるで違う罪で“罰”を言い渡された吉行は、最後に世間から“同情”を貰った。
虚像を絵に描いたような“同情”を……
そして……
司法の歴史に名を残し、人々の記憶からは忘れられていった。
残した名は、
『 真 崎 吉 行 』
─ホウテイデ アダウチヲシ、ハツノケイバツヲ アタエラレ、ドウジョウヲ カッタ アワレナ オトコ─
吉行の、法廷内による発砲殺害事件は、スティッチにはSensational(扇情的)なものであった。
すなわち、彼の欲望を煽り立てる単純さがそこにあった。
Simple is best.
(シンプル イズ ベスト)
殺したい程憎い奴がいた……
そいつは死の運命を回避した……
だから自分で殺した……
欲望の隙間を埋める為に……
それはスティッチには……
明解な【Answer(答え)】であった。




