メリークリスマス!
本編中には入りきらなかったのでこちらに書かせてもらいました
みなさま今年1年御世話になりました
よいクリスマスをお過ごしください!
クリスマスが近づいてきたある日のことです
ピッグ村にも子どもたちが増えてきましたし……まあ、半ば攫ってきたといえますが……
この世界にクリスマスの習慣がないようなので
コレ幸いと嘘を教え込みました
だって!リア充カップルが溢れるクリスマスなんて見たくないじゃないですか!
でも、子ども達には夢を与えたいなということで
子ども達を集めてこんな話をしました
「もうすぐクリスマスという祭りがあります
クリスマスにはサンタクロースというお爺さんがやってきます
そして寝ている間にサンタクロースさんは良い子にはプレゼントをくれます
ですが、悪い子には何もくれません
クリスマスの日は早寝早起きを心掛けましょう!」
ミィナさんには事情を話してあります
「セーラ様の世界にはそんな素晴らしいお祭りがあるのですね!」
と大変感激してくれました
ですが……子ども達とトッピー、コップリンは……
「そのさんたくろす?ってやつ怪しくないか?」
「ミィナ先生が怪しいやつから物貰っちゃダメって言ってたー」
「悪い子とかいい子とか誰が決めるんだろう?」
「さんたくろすって奴プレゼントで釣って私たちを攫うつもりじゃない?」
サンタクロースさんを信じてもらえません
それどころか変質者扱いです……
「ミドリ、さんたくろー たおす! みんな まもる !」
「ピンクもまもるーですの!」
「アカも!」
「アオも!」
「こっぷりん も 怖い けど 頑張る!ぴっぐ村 守る!」
「そんな!トッピーやコップリンだけに無理させられないよ!あたし達も戦おう!」
「おう!」
何故かサンタクロースを倒すことになっていました
あれ?プレゼントくれる親切な人じゃダメですか?
「そうと決まれば大人にも手伝ってもらおう!」
「残念ですが……大人にはサンタクロースは見えないんですよ」
え?ミィナさん!?
「それじゃ、なおさら俺達で頑張らなきゃな!」
「ああ、罠を張って生け捕りにしてやろうぜ!」
ははは、サンタクロース役引き受けちゃったんですけど……
今からでもクラウさんに変わってもらことって……
……無理でした
村長として1度引き受けた仕事はやり遂げるように!と怒られちゃいました
でも、子ども達に追いかけられながらプレゼントを配るのは
私の体力では無理なのでそれは他のゾンビさんや怨霊メイドさん達にお願いしました
私の役目は子ども達に追いやられ死に物狂いで逃げることです
今回プレゼントを渡すのは
キミィ達セレスティアルの街から連れてきた子ども達と
トッピー族とコップリン達、そしてライムちゃんと
個人的にヤマトくんにプレゼントしたいなーなんて思ってます
それで、その2人……でロマンチックな夜を……
「えっと、コレは?」
「サンタクロースの衣装でーす!
赤でエグくてグロいのを探しましたー!」
エマさん、そんな自信満々に言わないでください
確か事前に絵を描いて説明しましたよね?
「はーい、でも恰幅のいいお爺さん的衣装なんてつまらないので!
ここはエグくてグロいのを希望しますー!
その方が子ども達も攻撃しやすいですよ」
ははは、攻撃されたくないんですよ
「……諦めろ
……今回は手伝ってやるから
だから、クリスマスケーキとやら期待してる」
お目当はケーキでしたか……
ええ、ブッシュドノエル、ホールケーキ、なんでも作っちゃいますよ!
全ては甘い夜の為に!
なんて思っていた時もありました
クリスマスは地獄でありました!
子どもと侮っていたのですが罠がエグい
縄に足を取られ何度転んだか……さっきなんて宙吊りになりました……
「さんたくろーへ」
なんて書かれた箱の中身は笑いダケ入りのケーキだったりと
事前に聞いていなければ酷い目ににあったであろう罠がたくさんありましたとも
罠にかかる度にトナカイに変装したヤマトくん(……こちらもかなりグロい)に助けてもらいました
村に入ってからはどこからか飛んでくる石やドングリ
「第1陣発射!」
流石に巨大な漬物石くらいの石が飛んできた時は思わず悲鳴が出そうになりました
あの子ども達私を殺る気です
生け捕りなど生ぬるいと思い直したのでしょうか?
「ホッホッホ、私はサンタクロースだよ
良い子にプレゼントとお菓子をもってきたよホッホッホ」
この日の為に低い声が出るように頑張りましたよ
……チョークを食べさせようとするエマさん達怨霊メイド陣から叫び逃げていれば
声が枯れガラガラ声になりました
「来たな!あたし達は騙されないぜ!」
屋根の上からこちらを見下ろす子ども達……危ないからやめなさい!
そっちがその気なら私だって考えがあります
「ホッホッホ、ゴホゴホ
この村にはいい子はいないのかのお?
それじゃあ、このお菓子は私がもらうとしようかの」
子ども達の目の前でそれはそれは美味しそうなお菓子を食べてやりましたとも!
「あ!ずるい!それ トッピー の!」
ちがいますー!!
だって、あなた達いい子じゃないんでしょ?
「ぐぬぬぬ、なんて心の狭いやつなんだ!第2陣放て!」
もう石なんて不気味トナカイのヤマトくんさえいれば怖くありませんよーだ!
ベチャ……
顔面に当たったのはお笑い番組などでおなじみの生クリームのパイでした
「ゴホッ!グハッ!」
クリームが鼻に入りました!
痛い!
「ミィナ先生が言ってたんだ!
サンタクロースはこれが弱点だってな!」
ミィナさん……あなた何気に私より嘘を広めてるじゃないですか!
降ってくるパイ生地
ヤマトくん……ケーキは作ってありますので生クリームを舐めていないで助けてください
「おお!怯んでるぞ!もっと投げるんだ!」
「おおー!!」
持っていたお菓子はこっそり寄って来ていたトッピー族に奪まれました
「おのれー!!子ども達よー!!
また来年も来るからなー!!」
クリームで前が見えないながら
ヤマトくんに引きづられ退散する運びとなりました
まあ、お菓子も渡せたし
あの子達が家に帰るとプレゼントも置いてあるので喜んでもらえるでしょう
プレゼントはメッセージ付きです
『ピッグ村を守ってくれてありがとう
来年もよろしくお願いします
女神より』
サンタクロースさんからというとまた不審がられてしまうので
今度は女神様のお力をお借りすることにしました
「いいのか……?
頑張ったのはあんただろう?」
「いいんですよ
私もクリスマスの日に枕元にプレゼントが置いてあった時
とても嬉しかったんです
その気持ちを子ども達にも味わって欲しかったんです」
「楽しんでるだろ?あの声が聞こえないか」
わぁー
きゃー
と村の方から歓声が聞こえます
ゾンビさんと怨霊メイドさん達がうまくやってくれたのでしょう
「ふふ、喜んでくれたならそれが1番です
ってうわあ!」
木と木の間に張られて縄に引っかかって顔面から転びました
「はぁ……手、貸せよ」
なんと!ヤマトくんが手を差し出してくれました!
2人で手を繋いで屋敷へ帰りました
来年こそ甘いクリスマスにしたいものです
読んでくださってありがとうございました
次は「お正月編」を書きたいななんて思ってます