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雨はいつか止んで、優しさが世界を包む  作者: 佐田やすひ
第1章
9/34

sister

そこにはつい最近見た少女がいて、俺に一生懸命語りかけていた。


「お兄ちゃんを、助けてあげて。」


声が届いていないのに、何を言いたいのかが分かる。

「お兄ちゃんはお姉ちゃんをとられて、怒ってるの。」

お兄ちゃん・・・

「お兄ちゃんはこのままじゃ死んじゃうかもしれない。」


樹が!?


俺は目を覚ました。


夢・・・やっと夢か・・・

ずっと妄想空間に振り回されていた俺は、不思議な夢を見ることがなぜか嬉しかった。


夢・・・


樹・・・


樹妹!!


そうか、あの子は樹妹だ!

それにしてもなんで俺の夢に出てきたんだろ。

ていうか樹が死ぬみたいなことを言っていたけど、マジか?

まあ、死んで欲しいぐらいムカつく事はあったけど、あいつが死ぬ・・・

想像できない。


死んでほしくはないな。

電話でもするか・・・


しかし今の時刻は午前の3時である。

さすがに明日にすることにして、俺は再び目を閉じてうとうとし始めた。


さっきの樹妹の言葉を思い出す。

「お兄ちゃんはこのままじゃ死んじゃうかもしれない。」


・・・・・まあ、一応一回だけ電話しとくか。

俺は手探りでスマホをつかむと、樹の番号に電話をかけた。

「おかけになった電話をお呼びしましたが、お繋ぎできませんでした。発信音の後にメッセージをどうぞ。」


ピー


「大樹だけど、あんまり無理すんなよ。じゃ。」


て何をだ。

つーか、本当に今の夢だったんだよな。。。

まさか妄想空間!?

や、それはないか。

でもなんであんな夢見たんだ・・・

俺の意識はだんだんと薄れていって、いつの間にか眠ってしまった。






「はぁ・・・はぁ・・・はぁ」


3月だというのにまだまだ寒くて、俺の吐息は白くなって消えていく。

息を吐くたびに苦しくなって、すぐに限界まで息を吸い込んでいるうちに、息切れしてしまっている。

今俺はあいつの家の前にいる。


手が震えている。

やっとここまできたのに、何をためらっているのか。

こんな状態じゃ空間をつくれない。

あいつに勝てるかもわからない。

それでも、やるしかない。

ここまで覚悟をするのに、一週間はかかった。

絶対に許せない。

俺は妄想した。

姉貴のことを。

あいつも同じことを考えているはずだから。


ピロロロロロロロ


いきなりスマホが鳴った。

それは大樹からの電話だった。

今、午前の3時だぞ?

なんで今大樹から!?

で、出るか?

どうする?


迷っているうちに電話は切れて、留守電に切り替わった。


ピー

「大樹だけど、あんまり無理すんなよ。じゃ。」


て何をだよ。

なんで大輝がこの時間にこんなことを言ってくるんだ?

わけがわからない。

まさか俺のことを知っているのか?

なんで


「こんばんわ。君何年生?今何時か分かってるー?」


や、やば。

この時間に一つの場所に長居するのはまずかったようだ。

俺は高校生だから捕まれば即アウトだ。

急いで自転車に飛び乗り、全速力で漕ぎ出した。


「こら!止まりなさい!」


警官の制止など聞かず、そのまま走る。


しょうがない。

明日にしよう。


俺は明日、人を殺す。

更新遅れまして、申し訳ございません。


誤字脱字等ございましたら、気軽にコメント欄に書いて頂けると嬉しいです。

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