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雨はいつか止んで、優しさが世界を包む  作者: 佐田やすひ
第1章
5/34

boy

木村樹


樹と書いていつきと読む。

小学生の頃は俺の名前が大樹で、あいつは俺より頭一つ分ぐらい小さいことから、小樹(こいつき)と呼ばれていた。

まああいつは中学に入ってからアホみたいに伸びて(頭も本当にアホだった)、クラスで一番背が高くなった。

そして学年で成績最下位になった。

たしか小1の頃から友達で、親友だと思う。

高校で別れてからも、たまに連絡を取り合ったりしていた。

でも、会うのは中学以来かも。


「え?おお樹久しぶりー。」

「お前なんで・・・まあ、ちょうどいいか。」

「は?」

「いやさ、実はお前に言いたいことあって呼んだんだけどさ。」

「おお何?」

「・・・あー・・・・・この世界?のことなんだけど・・・。」

「え?」

「いや、今さ、周りに人いないだろ?」

「まあ、そうだな。え?もしかしてだけど・・・」そういえば、さっきの女の子がいない。


「そう。俺ら、妄想空間に入ってんだよ。」

「も、妄想空間?」


「えーっとだから・・・」

いきなり何もなかったところからさっきの女の子が飛び出した。

「おお!?」

「これ、俺の妄想なんだ。」

「お前、ロリコンだったのか・・・」

「違う!!これは俺の妹!」

「お前の兄弟にこんな可愛い子がいるもんか。」

「いるんだよ!言ってなかったけど!」

「へー。」

「くそっもういいよ。まあ要するに、さっきも言ったけど、俺たちは妄想空間に入ってるんだ。」

「左様か・・・」

「もうちょっと驚けよ。。。」

「いや、うん」

「あ?」

「いやさ、多分俺さっきその、妄想空間に入って来たんだ。」

「まじか?」

「片桐にあって来た。」

「え?片桐ってあの片桐だよな。」

「そう、あの美人な。」

「へー・・・」

「あと、ドラゴンに追いかけられた。」

「え?」

「やほんと」

「まあ、確かにこの世界では、妄想したことが現実になるんだけど。」

「そうなんだ。」

「ていうか逆だな。妄想が現実世界で膨らみすぎて、破裂した時にこの世界ができるんだ。」

「じゃあお前は幼女趣味が爆発してこの世界に来

「だから違うんだって!!誤解だって!!・・・そういえば、お前の妄想は?」

「ん?」

「やだから、お前も妄想が爆発してこの世界に来たんだろ?」

「いや、別に俺は何も妄想してないけど・・・」

「じゃあお前は寄生型だな。」

「寄生型?」

「そう、他人の妄想に寄生して、他人の空間に入るんだ。」

「もうちょっといい名前なかったのかよ。」

「俺が付けたんじゃねーし、知らねーよ。」

「そーか。」

「そーだ。」

・・・

「お前、なんか呆けてないか?」

「まあ、一晩中ドラゴンから逃げ回ったからな。」

「は!?一晩中?」

「そ。だから今死ぬほど眠い。」

「一晩中片桐といたのか?」

「や。あいつは最初に俺を囮にして逃げた。」


しばらく樹は腹を抱えて笑っていた。

まだヒーヒー言ってやがる。

「お、お前それマジかぶふふ」殴りテー

「あー久しぶりに笑ったー」

「で、俺いつになったら帰れるの?」

「あぁ、そうだった。」やっと笑いが収まったようだ。


「えー今日言いたかったことは、妄想空間のことと、妄想空間はつながるってことと、後はー」

「ちょっと待て、そういえば妄想空間ってどうやってつながるんだ?」

「あ、そうそれ、妄想に関連がある空間同士でつながったりするんだ。今みたいに。」

「でも俺今何にも妄想してないし、さっき片桐の妄想空間に入った時も、何にも、」

「本当にか?」

「え?」

「本当に何も考えなかったのか?」

「え、まぁ・・・中学のときのことちょっと思い出してたけど。」

「それだよ。」

「え?」

「寄生型は、ほんの些細な共通点でもあったら、人の空間に入っちゃうんだよ。」

「んなの入りまくりじゃん。」

「いや、結構近くにいる人の空間じゃないと入れないらしい。」

「なるほどー。そういえば、お前なんでそんなに詳しいの?」

「ネットの掲示板で前見つけたんだよ。どうも俺ら以外にも妄想空間に入れるやつ結構いるらしくてさ、そういうやつらばっかりのページがあるんだよ。まぁ外の奴らには頭おかしい呼ばわりされてたけど・・・」

「ほーん。」

「ちなみに、寄生型は俺みたいな自発型と違って、自分で空間を作れない。かわりに、自発型とは段違いに他人の空間に入りやすいんだ。」

「なんで?」

「え?」

「俺も自分の妄想空間作ってみたい。」

「しらねーよ。」

「片桐とあんなことやこんなこ


ドフゥ 樹のひざが俺の横腹にめり込む。


「ぅオ!」

こいつ、相も変わらずわかりやすいな・・・

既にやり返す気力も無かった俺は、力なくその場に伏した。

「ウルトラマンの分際で妙な妄想すんじゃねえ!!」

ブチッ


「おーおー悪かったねえウルトラマンでよお!!!この学年最下位が!!!!」

「なんだと?平成ウルトラマンごときが!」

「平成ウルトラマンを馬鹿にするな!!」


・・・説明しよう。

俺の名前は菊池大樹。

もう一度言おう、きくちダイナだ!

そう!あの平成ウルトラマンを彷彿とさせる(てゆーか、まんま)キラキラネームの持ち主なのだ!!!

苗字が普通なだけに、余計キラキラがきわ立つぜ!!

(ちなみに小中では恥ずかしすぎてふつうにだいきって名乗ってたぜ!)


「ンだよチクショー!おれだって普通の名前に生まれたかったよ!一文字無いだけでいいかんじの名前になるお前が羨ましいよくそぉ!」

「わ、悪かった。悪かったよ。言い過ぎた。だから、いい加減起きろ!寝かけてるぞお前!」

「お前が本気で蹴るから・・・・・・・・・・」

「おい!起きろ!寝たら死ぬぞー!!!」





zzz

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