異世界の旅とはどんなものか
「これで準備終わりね、レイ」
「うん、大丈夫だよ。お母さん」
(やっと終わったわ。母さんのせいで色々疲れたわ)
龍人族の故郷"仙龍嶽"、大昔かつてこの世界の頂点に君臨していた7匹の自然属性を司る神龍が住んでいた場所である。現在神龍の行方は不明であり、誰も知らない。
「そんじゃ行くぞ、坊主」
「はい!」
(異世界で初めての旅だ!魔物とかどんなのがいんのか見れる良い機会でもあるし。ワクワクするな~)
リュックを背負い、他の荷物は無属性の収納魔法にしまった。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい」
仕事で忙しく見送りをする事ができない為にホークはこの場にはいない。その為に見送りは母アリルとメイドや執事だけである。
レクシャーナ王国を出て1時間以上が経過し、そこでレイはある事を自覚させられる事になった。
「坊主、体力ねえなおい。そんなじゃ強くなれねえぞ」
「すみません、ヒムさん」
(アホがこっちはまだ5歳だぞ、それに人間と龍人族じゃ肉体性能が違い過ぎるんだよ)
例えば人間と龍人族が戦ったとして、人間が歴然の猛者で龍人族が素人だったとしても最終的には龍人族が勝ってしまう程である。それほどまでに差があるのだ。
そしてさらに7時間が経過し、レイの身体はもう限界であった。
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」
(もう無理、ペースが速すぎんだよ)
「ったくしゃーねえな、もうそろそろ日が暮れる。今日は近くの村にでも泊まるか」
「はい」
結局初日はレイの限界の為、今日は近くの村に向かう事にした。
村で宿に泊まる事にし、二人部屋に案内された。
「あ~食った食った、坊主さっさと寝ろよ。明日朝早いかんな」
「はい」
疲労が溜まりへとへとのレイは、気絶するように眠りについた。普段静かな所じゃ無いと眠りずらいレイはヒムの大きないびきも耳にはいらず、朝まで寝ていた。
翌朝起きないヒムを無理やり起こし、ようやく宿を出た。
「ふぁ~あ、早起きだな坊主」
「普通ですよ、ヒムさんが遅いんです」
ムスッとした顔をしているレイをあまり気にせず 、呑気に歩きだした。
旅の途中魔物はヒムが倒しており、たまにレイが初級魔法を使って倒していた。
「初級魔法はある程度できんだな」
「全部では無いですけどね」
そんな他愛もない会話しながら、旅を続けていた。