第1章 どうして集団失踪事件は発生したのか
電車の中でスマートフォンをいじりながら目的の駅に到着するのを待ち、駅に降り同じ制服を着ている同年代の生徒とともにいつもと変わらず高校に向かう。
「あ~眠い」
自分の席に着席すると、口から出るのは寝不足による疲れの言葉である
「着席早々かよ~敬一。まだ1時間目始まってねぇぞ」
「良いだろ別に~。課題が終わん無かったんだよ。栄次は終わったのかよ」
「当たり前だろ、俺は一昨日に終わらせてんだよ。前日に死ぬ気になってやんなよな~」
「へいへい、2時間目は寝てもばれねえからなんとか1時間目だけは起きてるよ」
やがてチャイムが鳴り響き、授業の担当教師が入ってきた為なんとか自分に気合いを入れ、背筋を正した
1時間目をなんとかやりきった敬一だが、やはり2時間目の授業は耐えられず開始早々居眠りを開始してしまった
その後昼食をはさみ午後は2時間目に眠ったお陰で、なんとかのりきった。
そしてクラス担任がやって来て、ホームルームを開始した
「今日は特に連絡する事は無いんで、え~ホームルームを終わりにします。それじゃさよなら~」
「「「さよ~なら~」」」
ホームルームが終わると早速栄次が敬一の席へとやって来た。
「帰ろうぜ~敬一」
「ちょっと待って」
敬一は急いで鞄に筆箱や教科書を詰め込み、席から立ち上がった。
他のクラスメート達も各々帰る準備を終え、それぞれ仲の良い者同士帰る者や部活に向かおうとする者がいた。
誰もがいつも通りの日常が終わるとは知らなかったのだ。
「あれ?壊れてんのかな?」
1番最初に教室から出ようとした生徒がドアをガタガタ音をたたせながら、必死にドアを開こうとした
「何してんだよ~、俺が開けるからどけよ」
後ろにいた生徒はイライラしたのか前にいた生徒をどかして、ドアを開けようとしたがやはりどうしても動く気配がしない。
「どうなってんだよ、ドアが開かねえよ!」
「は?」
事態がおかしい事に敬一も気づいた。クラスメート全員がどんどん慌て始めた。
「おいどうなってんだ!何で開かねえんだよ!」
「ふざけんなって!この後予定あんだよ!」
どんどんクラスメートが焦り始めていた。クラス担任は教室を出た途端の出来事だった。
「おい!窓の外真っ暗だぞ!」
教室の窓こらは何も見えなかった。まるで教室だけが世界から孤立したようである。
フォン
クラスメートの1人の足下から突然幾何学模様や読めない記号が描かれた円が出現した。
「え?」
「うわっ!?何これ!」
その生徒は足から徐々に円に吸い込まれ始めた。
だが吸い込まれ始めたのは、彼だけだは無かった。円はとても大きくクラスメート全員の足下まで及んでいた。
「やべぞ栄次!俺達も沈み始めちゃってんぞ!」
(何だよこれ、沈んだ部分の感触がねぇ!)
「うわーーーーーーーー!!!」
徐々に沈んでいた身体は膝を過ぎた途端、一気に身体全体をのみ込んだ。生徒によっては悲鳴をあげる時間すらもなく飲み込まれた。
やがて教室には誰もいなくなった。この事件はやがて日夜ワイドショーを騒がせ続ける事になる前代未聞の集団失踪事件となる。
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