表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

暇ではないのね


 真っ暗闇のなか、私という個の意識がそこに存在している。

 自らの姿をはっきりと見つめることができないけれど、否定することもできないので悲嘆もしなかった。


 お腹が減ったと感じると、魔物を胃袋に収めればよい。

 洞窟内にいる存在を壁に閉じ込めて揉み砕く。相手が大きくても小さくても関係ない。

 

 武装した魔物の鎧を酸で溶かせた。

 正直、とてもあり難かった。


 骨は要らなかったので胃袋――というより、壁からほっぽり出す。

 残りカス目当ての魔物たちにはご馳走らしい。

 彼らにも少しだけおすそ分けしようかという気持ちが芽生えた。


 体が鈍ったかなと感じれば背伸びをすればいい。

 もれなく地震付きだけど。


 怒った時は噴火しても良い。

 溶岩付きだけど。


 あ、一回だけ怒ったことがある。


 洞窟内でヒト族の冒険者たちが、魔物達との戦いで中級クラスの魔法を放った。

 魔物達は屠られた。そして私の胃袋内でもプチ戦争をおっぱじめる。


 岸壁を容赦なく風の魔法で抉る。

 焔が魔物を焼き付くさんとする。

 もれなく私も悲鳴をあげた。

 

 よくも私の胃袋をボコったな。




 ――オオオオオオオー




「なんだなんだ、この不気味な音は」

「鍾乳洞の中で風が吹きすさぶと、このような音が聴こえることもありますわ」

「おい、他にも聴こえないか。たとえば、ジュワワッていうのとか……? うわぁっ! 靴の裏が溶けてきてる」


 私が下手に出てるからって、動けないからって、手も出せないからって、自分のお家を壊されて黙っていられるか。

 お気に入りのモノを奪われるこの気持ちを倍返しにしてやれば、私の気持ちは落ち着くだろうか。

 

 ほぅら、さっさと逃げないとどんどん溶けちゃうぞ~。

 服だけなんてそんな生易しいこと私はしない。


 魔物もそんな好きじゃないけど、あんた達はもっと嫌い。

 出てけ出てけ~。


「酸の海になる前にここから脱出しましょう。勇者さま!」

「あぁ」

 

 奇妙な魔法陣を描き、仲間たちを集めたかと思うとこの場から消え去った。

 なんだったんだ彼らは。逃げるのなら最初から来るなっつーの。


 ふあぁ~あ。

 洞窟ライフも楽じゃないってね。


 することもなくなぅたし、そろそろ体操でもしましょうかね。

 おいっちに、さんし。

 もにっもにっ、とな。


 体を動かす感覚これ大事~。

 ちゃんと動いてるのか確かめる術は……あ、地震が発生してるんだから、魔物達が揺れてるのか確かめればいいのか。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ