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三日で終わらす異世界転移  作者: 岸野 遙
プロローグ
3/60

1/9 23:51

「いやいやいや、三日間で魔王を倒すって、どんだけ無茶苦茶なのさ?

 さすがに、もっと時間くれよ。そんなブラックワーク勘弁してくれよ」

「三日間なのも、理由があるのよ。面倒だからとかじゃなく、伸ばしたくても伸ばせないの。

 時間があれば、後で説明してあげるわ」

「ん……そうだな、説明を頼む」

「ええ。残り10分もないし、大事なことから話すわ。全部頭に叩きこむのよ」

「メモとかマニュアルとか、ないの?」

「ないわ!」


 嬉しくない内容を、力いっぱい断言されてしまった。


「まず、あなたは勇者として、成長すればほとんどのスキルや魔術を扱えるし、誰よりも強くなるわ」

「勇者様だからな。ふふん」

「ただし、転移直後は全く何の力もない、いわゆるレベル1の状態よ」

「……三日間なのにそれはひどくね?」

「あなたの肉体を送り出すわけじゃないの。そこまでの干渉は無理よ。

 現地でゼロから肉体を構築し、そこにあなたの精神を転移させる形ね。

 だから、あなたの肉体は真っ白の状態から始まるわ」


 キャラメイク途中からスタートな感じか……

 首を振りつつ説明してくれる謎の美女に、とりあえず頷く。


「……美女と呼んでくれてるのは悪くないけど、私は転移先の世界の女神よ。

 女神様とかそれっぽく呼んでちょうだい」

「女神……様?」

「なんで不思議そうなのよ!」


 いや、だって……なぁ?


 確かに、顔だけはすっげぇ美人だ。こんな美人、人生初だ。顔だけは。


「なんで顔だけを連呼してるのよ!?」


 そりゃ……なぁ?


 すげぇスタイルのいい美女なのは認める。

 ただ、なんでそれが、ジャージ姿なんだ?

 意味が分からない。引きこもりの干物女にしか見えない。胸の突っ張った窮屈そうな部分を開放して欲しい。


「う、うるさいわね! ジャージは素晴らしいじゃない、寝ながらゲームやるのに最適なのよ!」

「うわ、こいつ駄目人間だ……」

「って、そんな話してる時間ないの、説明が足りなくて困るのはあんたなのよ!」


 おっと、ついつい我慢しきれず突っ込んでしまった。話を聞こう。


「説明を続けてくれ」

「……はあ。

 そういうわけで、何も持ち込めないしあなたは自力で強くなる必要があるわ」

「なるほど。

 開始時点のスキルとかは選べるのか?」

「現地についてから、自分で取得してもらうことになるわ。初期スキルポイントでね」


 キャラメイク後、スキル未振りの状態なわけね。オーケー。


「そうそう、この世界の、ファンタジー作品で言うところの異世界転移文化はだいたい把握してあるわ」

「……さいですか?」

「時間もないし、できるだけ理解しやすいように説明を続けるわね。あんたも黙ってしっかり覚えなさい」


 そんなわけで、色々説明されました。


・ 経験値、レベル、スキルポイント、スキル取得。標準な感じ。

・ スキルポイントの割り振りは異世界人の特権。ステータス画面から操作可能。

・ 好感度などが高ければ、従属する仲間のスキルも操作可能。

・ スキルポイントで手に入るのはあくまでスキルのみ。お金や道具は別途入手する必要がある。

  ただし武器を生み出すスキルや、空腹に強くなるスキルなどもある。

・ スキルポイント以外でのスキル取得も可能だが、三日間だから現実的には無理。


・ 異世界言語での会話はスキルなしで可能。読み書きは勉強かスキルで習得が必要。

・ まず最初に取るべきは成長補正やスキルポイントボーナス、三日鉄人などと思われる。これがないと三日間とか絶対無理。

・ スキルの種類は数百にもおよぶ。ステータス画面の取得可能スキル一覧で見れるが、全部見るには時間がもったいない。検索とかすべし。

  当然だが、魔王討伐の役に立たないようなスキルも多数。種族固有スキルも、場合によっては取得可能。


「ざっとだけど、こんなもんかしら?

 これで最低限はやっていけそうよね?」

「成長とかについては、だいたい了解した。

 つまり、適当にファンタジー知識でやればどうにかなりそう、ってことだな」

「……ぶっちゃけ、そうね。間違ってないわ」


 ちょっと苦々しい顔でジャージの女神が頷いた。

 説明の時間が惜しいなら、最初からその一言でいいのに。


「誰がジャージの女神よ……はあ」

「つっこまないつっこまない。

 で、現地の情勢とか魔王に関する知識を教えて欲しいんだが」

「……わからないわ。ごめんなさい」


 オレの質問に、ジャージの女神が少し辛そうにうなずいた。

 わからない……って、どういうことなんだ?


「魔王を倒して欲しいのに、状況が分からないのか?」

「ええ。

 私が最後に世界を見てから700年ほど経っているわ。その時と比べて今がどう変わっているか、全然わからないのよ」


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