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三日で終わらす異世界転移  作者: 岸野 遙
一日目 ~旅立ち編~
17/60

1/10 02:40

「……はあ?」


 え、何言ってんのこの毛玉?


「この姿は、わしの魔物形態じゃからな。

 人型になれば、それはもうすごい別嬪さんじゃぞ?」

「え、ええ?」


 え、どういうこと?

 というか、魔物形態とか人型とかどういうこと?


「ふむ……スクネは、そんなことも知らなかったのか」

「何の話?」

「し、知らなくていいです! ジャルカはただのおしゃべりな毛玉です!」


 必死な姫様を抑えて、なぜか王様が説明してくれた。


 そもそも魔族には二種類あるらしい。

 魔物型と人型を自由に変化できる種と、魔物であり人型である種。

 ジャルカさんは前者、姫様や王様は後者らしい。

 なので、ジャルカさんは毛玉から人間型になれるんだとか。


「し、知らなかった……」

「人型と言っても、完全なる人間ではなく、どこかしらに特徴は残るものなんじゃが。

 わしの場合は、大量の髪の毛じゃな」

「余を始め、リーンスニルの民は大半が鬼族でな。我々は形態変化を持たぬのだよ」


 2人はそう魔族についての説明を締めくくった。


「あ、もしかして。

 兵士さん達がいびつな兜を被ってたのって、角があるからとか?」

「そうじゃ。

 角じゃったり耳じゃったり、色々あるがの。個人の特徴にあわせて、防具は改造されておるのじゃよ」


 ジャルカさんが毛招きすると、そばに居た兵士達が兜を取って見せてくれた。

 一人は頭のてっぺんに一本角。もう一人は王様と同じく額に小さな二本角がついていた。


 さらに呼ばれてやってきた二人の侍女。

 一人は長い手袋の下、腕の部分にヒレのようなものがあり。


 もう一人、王様とジャルカさんを押さえ込んでくれた侍女さんは、スカートをたくしあげてお尻を見せてくれた!


「スクネ様……ぽっ」

「おお……」


 正確には、お尻より上の方なんだけど。細い尻尾が、オレを誘うように揺れて


「いだっ、いだいだだ」

「スクネ様!

 女性の肌をじろじろ見るなど、殿方のなさることではございません!」

「ごめっ、取れちゃうから、痛い!」


 すげー力で姫様に耳を引っ張られ、涙目で謝る。

 でも目線はスカートの中、お尻(の上の方)やら下着やらから離れられなくてごめんなさい。


 ついでに、ヘッドドレスを外してくれればそこに猫耳があるのも見てとれた。

 最初から頭だけ見せればいいって? そんな野暮なことは言いませんよ!


「とまぁ、そういうわけで。

 わしはすでにスクネとパーティを組んでおるし、約束じゃからこのままついていくつもりじゃ!」

「なりません!

 そもそもお父様、私の呪いを解いたのですから私はスクネ様のお嫁になります!」

「え、えええー!?」

「なっ、ならんならんぞ! それとこれとは話が別じゃ!」


 姫様のどきどき発言に放心するオレの前で、ぎゃーぎゃーとにぎやかな親子+毛玉。


 え、お嫁さん?

 え、えええ? 姫様が?


 何これ。これなんて夢?

 あんな絶世の美少女が、あの爆乳が、オレの嫁……?


 そんなオレに、侍女……いや、もうはっきり言おう。

 ロマン溢れる猫耳メイドさんが教えてくれた話によると、数年前に王様がお触れを出したことがあるらしい。

 魔王が掛けた姫様の呪いを解いたものは、このリーンスニルに領地を与え、特別な地位を与えて城で召抱えると。

 それはつまり、姫様の婿候補に加えるという意味であった。


 そんなことしたから魔王に睨まれてるんじゃ?と聞いたら、面白がって魔王が正式に許可したらしい。

 自分の呪いを破れるものが居るなら会ってみたいとか。

 とにかく、そういう話があったらしい。


―――なんてことを耳元で甘く囁かれて、ちょっととろけそうでした。

 なんなんだこのメイドさん、妙に距離が近いし色っぽいぞ。



「ジャルカ、スクネ様!

 まずは私もパーティに加えて下さい、いつ旅立つにせよ話はそれからです!」


 美しい姫様の迫力ある姿に気圧され、しどろもどろになりつつパーティに加える。

 別に、リーダーであるオレからならいつでも外す事ができるし。怖いけど。


「わしとスクネのらぶらぶ2人パーティじゃったのに……」

「駄目です、認めません!

 そもそもジャルカが旅に出ることも反対です、どうしてもというなら私も連れて行って下さい!」


 それ、すでにジャルカさんが旅に出るかどうかはどうでも良くなってない?


 またぎゃーぎゃーやり始めた3人を見ながら、オレは苦笑しつつ大あくびをした。


「ふあ……ぁ」


 そういやぁ、今って何時くらいなんだろうか?

 多分2時とか3時くらいだよなぁ。眠いわけだ。

 解呪ランク10を連発したせいで、一時は倒れるほど魔力を使い過ぎてたわけだし。まだまだだるくてしんどい。


「続きは明日にしてくれないかなぁ……」



 思わずぼやいた、オレの背後から。


「いや、今日この場で良かろう。

 我も暇ではないのでな」


 聞きなれない男の声がして。



「え?」


 オレが振り向くより、周りの誰かが反応するより早く。




「……え?」


 オレの胸から、血しぶきと共に剣の刃が突き出した―――


~ お知らせ ~


 章設定を間違っており、ずっとプロローグとなっておりました。

 実際には1話~4話(1/9 23:56)までがプロローグ、5話(1/10 00:00)からが次の章となります。

 訂正させていただきました。大変失礼いたしました。


 感想にてご指摘下さった方に深い感謝を捧げるとともに、お詫び代わりに明日は2話投稿いたします!

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