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オーバードライブ  作者: よっと君
5/5

退治屋の誇り

この小説をパソコンで書いていますが、昔は原稿で書いていたのですよね。パソコンでも大変なのに、昔の人間は偉いなぁと思います。

弓を持ってきて、それを巨大ガラス目がけてキリリと引く。でも暴れるカラスのせいでなかなか焦点が定まらない。カラスの頭の上にいたリオンが振り落とされる。

「リオン!」

「っ痛ぇ。お前それ弓矢か!?」

リオンが私の持っている弓を見てそう言った。

「そうだけど」

「それ貸せ!」

リオンは弓矢を私から奪い取ると、巨大ガラスの左翼に見事当ててみせた。息を飲む那由は、自分は退治屋なのにも関わらず、こんな時何もできないでいる。それなのに、この少年は何て凄いのだろうと思った。

琴美は腰をぬかしていたセドリック先生を立たせ、家の中に連れて行った。

「先生。大丈夫?」

「フーッ」

いつもの先生の息づかいが聞こえた。よかった。とりあえず大丈夫みたい。にしてもリオンの奴、弓を扱えるなら最初から言えばいいものを。私が戦わなくちゃいけないと思ったじゃない。

「おい、先生大丈夫か?」

リオンがあまり心配していなさそうな声で家の中に入ってきた。

「あれ?カラスは?」

「もう行ったみたい」

リオンのかわりに答えたのは那由だった。那由は自分の不甲斐なさに少しがっくりとしている。元気づけてあげたいけど、こういう時どうすればいいのか、異世界から来たばかりの私には分からない。戦いに参加できなかった女の子の励まし方なんて、どの教科書にも載ってないに違いない。

「ところで姉ちゃん誰だ?」

今更ながらリオンがそう尋ねる。

(気づくのが遅いよ)

「私、那由と申します。例の一族のはしくれ・・・・のつもりでした」

「例の?ああ、退治屋のか」

やっぱりリオンは退治屋の事知ってたのか。じゃあ何、知らない私は那由にとってかなりアホに映ってたってこと?退治屋の事教えてくれればよかったのに。薄情な奴め。

「ふーん」

じろじろと那由を見回すリオン。そうだ、忘れてたけど那由はもの凄い美少女だったんだ。リオンも子供とはいえ男。こんな美少女目の前にして、ただ見てるだけじゃ物足りないだろう。

「なんか弱っちそうな退治屋だな」

(えーーーっ!)

そっち言っちゃいますか。多分今1番那由が聞きたくない言葉だろうに。

「・・・・」

無言になる那由。そりゃそうだろう。一族の仕事に誇りを持っていた彼女が、さっきの戦いで何の役にもたたなかったんだからショックだろう。

「あなたの言う通りです。私はまだまだ弱い」

「だろうな。洗面器投げつけるようじゃ、退治してるって言えねーぜ」

(黙って聞いていれば)

「ちょっとリオン、言い過ぎよ!那由に謝って!」

「琴美ちゃん、いいの。それよりリオンさんと言いましたね。私を弟子にして下さい!」

「はあ?」

何でそうなるのよ。リオンはぼりぼりと頭をかいている。どうやらリオンはリオンなりに困っていて、言葉を探しているようだ。

「先ほどの戦い、見事でした。敵には逃げられましたが、相当な深手を負わせたことでしょう」

逃げられた?ちょっと待ってよ。怪我を負わせただけなんて、そんなの勝ったなんて言えない。それなのに那由はリオンを尊敬している。

(この2人って実は凄い息ぴったりなんじゃ)

「姉ちゃん。俺は弟子なんてとらねーよ。それより帰ってパパの機嫌でもとってるんだな」

「そんな言い方しないで下さい!私は本気です。今の私では雄迦を倒すなんて夢のまた夢。弟子が無理なら、せめて貴方の戦いを傍で見学させて下さい!」

こんな美少女にここまで言わせるなんて、そんな事できるのリオンくらいじゃないだろうか。それにしてもリオンの奴冷たいなぁ。嫌ならごめんって一言言えばいいのに。

「分かったから、そんな目で見るなよ」

(どんな目だよ)

那由の顔がだんだんと明るくなる。まるでお城に灯った綺麗な明かりのような笑顔だ。

「ありがとう!」

そう言う那由は本当に嬉しそうで、よほど雄迦を倒すため強くなりたいんだなと思った。

「それと、あの・・」

「まだ何かあんのかよ」

那由はちらりとリオンの腰に巻いてあるタオルを見た。

「いい加減服を着替えて下さい」

「あ、お、おう」

今更ながら自分が裸同然だったことに気づいて真っ赤になるリオンを、私は初めて見た気がする。

「フーッ!俺、忘れる・・よくない」

そして忘れられていたセドリック先生を見て、私達は顔を見合わせて笑った。


「どうよ~リオン~!」

私は那由を綺麗な着物に着替えさせた後、自分だけがこんな美少女の可憐さを見ているのは勿体ないと思い、リオンとセドリック先生に見せてみた。

「きれい・・・コトミ」

セドリック先生はカメラを取り出すと、なぜか私の着物姿を撮り始めた。

「私じゃないっつーの!那由のあで姿を見よ!どう?可愛いでしょ?」

「お前よりな」

「あーっ!失礼ね!」

那由はその言葉を聞いて少し照れたようだった。

「琴美はいいとして、那由、お前はこれからどうするんだ?」

急に真面目になったリオンに感化されてか、那由も真面目な顔になった。うん。やっぱこの2人ってお似合い。

「琴美ちゃん達と一緒に行きます。先ほどの魔物、多分雄迦本人です」

その言葉に私達全員が凍りついた。雄迦?さっきの巨大なカラスが?全ての魔物の元凶。

「何でそう思うんだよ。逃げられた俺が言うのもなんだが、あいつ結構弱かったぜ」

「一族の文献によると、どうやら雄迦とはカラスの妖怪らしいのです。そして、雄迦に通常の攻撃は効かない」

「リオンの弓は効いてたけど・・・」

でも、そういえばあの後、私がセドリック先生を家の中に連れて行った後どうなったんだろう。

「なるほどな。俺が脳天に弓を突き刺したけど、普通に動いて空飛んでったもんな」

那由の言う事が本当なら、そんなの倒しようがない。

「・・どうする、コトミ」

珍しくセドリック先生が口を開いた。先生も危ない目にあったからなのか、雄迦が許せないのだろう。

「どうするって、そういうのは警察に任せようよ」

「あほか!警察がこの世界に存在してると思うのか?」

リオンのおっしゃる通りで・・・。もといた世界のことを、ついうっかり口に出してしまった。

(あ~あ、那由変に思っただろうな)

そう思って那由をちらりと見てみると、真剣な表情をして、何かを考え込んでいるようだった。

「ズゥ老子なら、あるいは・・・・」

しばらく考えた後、那由がそう呟いた。

「ズゥ?あいつに頼むのかよ」

ちょっと、ちょっと、そこのお二人さん。私とセドリック先生を忘れてるんじゃないでしょうね。

「誰よ、ズゥ老子って?」

リオンはそんなことも知らないのかとばかりに大きなため息をついた。何よ!自分達がこの地獄に連れてきたくせに!

「ズゥはよわい800を超える仙人だよ」

漢字をパソコンで変換する時、どれに変換していいか分からない時がたま~にあります。そういう時はひらがなでうちます

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