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理想を語るラジオ (上)

 ここ駒坂学園では昼休憩になったら一週間に一回程度、放送室を貸し切ってラジオ放送をする。

 ラジオ放送する日にちは何時も決まってなく、前日になったら朱音から伝えれる為、俺は何時やるかなんて一切知らない。

 ラジオの日にちも知らされていない、時間配分も知らない、コーナーは何をやるか知らないという状況。

 つまり何一つ知らない状況なのである。 朱音の奴どれか一つでも教えてくれたっていいのに、俺が教えてくれるように頼んだら「秘密にした方が面白いじゃない」ときたもんだ。

 くそう。何が「秘密にした方が面白いじゃない」だよ! こっちの身にもなってくれよ! 

 そんな事を思いながらも、結局手伝う俺の方にも問題があるかもしれないが……。 

 はぁ不幸だ……。 このラジオに至っては某熱血主人公並みに不幸だ……。

 

 「はぁ不幸だ……」

 しまった!  そんな事を思ってたらつい心の中で思ってたことを言ってしまった。

 「何? 陽幻想でもぶち壊せる右手を手に入れたの?」

 「いや、そんなものは手に入れていないけど……」

 「早く海賊王になるって幻想ぶち壊しなさい」

 「そんな事思ってねえよ!」

 「早く新世界の神になるって幻想ぶち壊しなさい」

 「それ前回の妄想男の時、勝手にお前が言った奴じゃん!」

 「早くニュージェネ事件が起きてるなんて幻想ぶち壊しなさい」

 「だからそれ前回お前が勝手に俺に付け足したイメージだろ!」

 「早くハーレムを作るなんて高い幻想をぶち壊しなさい」

 「本当に高いな! 何様なんだよ俺!」

 「早く無事に卒業できる何て幻想ぶち壊しなさい」

 「俺の卒業式幻想!? 卒業式にまで何が待ち受けているんだよ!」

 「さて、それじゃあ始めますか」

 「そうしてくれ……」

 はぁ……始める前からどっと疲れたぜ……

 「という事で発進!」

 「発進!? 何を発進させるの!?」



 朱音「ちぃーす。 鏡花朱音でぇーす。 よろしくっす」

 陽「何その軽いノリ! どうも向海陽です」

 朱音「この番組は脅える放送部員協力の下提供してます」

 陽「放送部の人を脅迫すんな!」

 朱音「それではコーナー行きます。 《学校相談コーナー》」

 陽「あれ? それ新コーナー?」

 朱音「そうだよ。 このコーナーは学校に関する事で困った事や悩み事などを募集するコーナーです」

 陽「人生相談コーナーの学校版みたいなものか」

 朱音「まず一通目。 『主将』さんから」

 陽「何の主将なんだ?」

 朱音「『僕はバスケ部の部員なのですが、今年は部員が少なくて困ってます。 今から部員を集めるいい方法はないでしょうか?』とのことです』

 陽「そー言われてもな……今から集める方法なんて…………。 朱音は何かある?」

 朱音「ああ、いい秘策がありますよ」

 陽「へー。 それはどんな秘策なんだ?」

 

 朱音「全校生徒にスラム●ンクの配布!」

 

 陽「……いやいや、バスケ漫画配布したからってバスケ部に入る人いないと思うけど!」

 朱音「何言ってるの。 この漫画に触発されてホントにバスケ部に入った人もいるみたいだよ」

 陽「いや、それでもそういう動機で入った人は長く続かないだろ!」

 朱音「この漫画を見たら皆即バスケ部入部ね。 その場で両膝付いて『先生バスケがしたいです』って言って入部してくる人が大勢出る事間違いなし」

 陽「怖ぇよ! 大勢の人が泣きながら入部してくるなんて状況怖すぎだよ!」

 朱音「そうね。それなら勧誘の方法を変えてみてはどうかしら?」

 陽「例えば?」

 朱音「『おい、兄ちゃん。 バスケ部入らねえか? 入ってくれたら可愛い子紹介するぜ。 ぐへへへ』みたいな」

 陽「嫌な勧誘の仕方だな! しかも女子目的で入られてもバスケ部には迷惑だろ!」

 朱音「それなら大丈夫。 女子は紹介しないから」

 陽「いや、それはそれで女子目的で入った男子が怒るんじゃあ……」

 朱音「そこは、『これ俺が知ってる可愛い子』といって画面越しの女の子を紹介すればいいじゃない」

 陽「架空の女子! 何かもうホントにやり方が汚いな」

 朱音「放送で呼びかけるのもありかもね。 『只の人間には興味がありません。 この中でシュート、ドリブル、リバウンドが出来る人がいたらバスケ部のとこに来なさい』」

 陽「只の人間じゃん! 普通の人間にめっちゃ興味あるじゃん!」

 朱音「なら……『一時間一万円でどう?』って誘い方で」

 陽「人の時間をお金で買うな! しかもその誘い方だと勘違いされるわっ!」

 朱音「バスケの練習を見せて、バスケの面白さを伝えるのもありね」

 陽「バスケの面白さ?」

 朱音「まず走る時はボールを持って、デビ●バットゴーストで選手を追い抜いたり……」

 陽「反則! ボール持って走ったら反則だから! しかもそんなの出来ないでしょ!」

 朱音「パスは零式ド●ップのように、自分のすぐ近くにボールを投げる神業を披露」

 陽「それ筋力がないだけじゃない!?」

 朱音「ジャンプする時はマ●オのような効果音を出す」

 陽「滑稽! それ物凄く滑稽に見えるから! 全然緊張感伝わらないから!」 

 朱音「シュートする時は、某緑間さんみたいにジャンプした状態からパスをもらいシュートを打つ」

 陽「内の部員キセキの世代の人間じゃないんだけど!」

 朱音「結構ありだと思ったんだけど……」

 陽「それらの案は使えない! そうだな部員に関しては……取り敢えずこのラジオで呼びかけるからそれで満足してくれ」

 

 というかバスケ部はそんなに深刻な部員不足だと聞いた事がないぞ。

 ネタとして取り上げたて欲しくて嘘を言ったのかもしれない。 その可能性もあるので取り敢えずこのような対応でいいだろう。

デビルバッ●ゴーストは練習したら出来るみたいですね。


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