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迷惑な溺愛者  作者: 安芸
第一章 王子殿下のお話し相手
5/101

四 脅迫されました

 兄バカ発揮。


      四


「昨夜はよく眠れた?」

「はい」

「それはよかった。体調は崩していない? 昨日、外で居眠りしていただろう。風邪などひかなかった?」

「ひいていません」

「ふふ、丈夫だね。では、食事はどう? 口に合うかな?」

「はい」

「それもよかった。生活に不自由はない? なにか不便は?」

「ないです」


 ミレがかぶりを振ると、アーティスは満足げにひとつ頷いた。


「では、もしなにか困ったことや要望があれば、私の名前を使うといい。たいていのことは都合できると思う」

「ありがとうございます」

 

 アーティスと肩を並べて、中庭をそぞろ歩く。

 中庭は四区画に分かれていて、いまは一の庭、およそ百種に及ぶ白い花ばかりを集めた庭園に足を運んでいた。

 そしてなぜか、アーティスにずっと手を握られたままだ。


「ところで」


 俄かに声が低くなり、身体を引き寄せられた。鋭い眼つきで顔を覗き込まれる。


「さっき、ユアンに強引なキスをしていたようだけれど、君は、年下の男を襲う趣味があるのかな……?」


 握られている手に少し力が加えられる。

 やはり、とミレは察した。

 このひとは、父親と同じ種類の人間だ。

 愛想よく、上辺は優しげで親切。

 だがその実は、敵にまわせばこれ以上にないくらい陰湿で、厄介だ。

 そして例外なく、怖い。

 こういう手合いには、近づきたくないのに。

 と、ミレはゾクッと戦慄しながら嘆息して、内心、父を恨みがましく思う。

 反面、血の繋がった肉親であり、数少ない理解者である。とても嫌いにはなれない。


「……ユアンに悪戯すると、承知しないよ?」


 アーティスはにこにこしているが、眼が笑っていない。非情な顔だ。

 ミレは「歩き疲れた」と言って、庭園の芝に勝手に腰を下ろした。手を繋いでいるアーティスも必然横に座る。足を伸ばすと、楽になった。

 深呼吸して、言った。


「あなたのキスを返せと言われたので返しただけです」

「は?」

「昨日、私の頬にキスしたじゃありませんか。そのキスをユアン殿下が返せとおっしゃったので、お返ししました」

「……そういうことか」


 ふっ、と殺気が消える。

 アーティスは納得したようだ。

 ミレはつまらなそうにぽつりと呟いた。


「私は人間に興味ありません」


 だから誰とも親しくするつもりはない。

 暗に牽制して、パタリと芝に仰向けに寝転がる。

 空がきれいだ。この城は森の中にあるので空気が澄んでいて清々しい。風も穏やかで気持ちいい。

 

 こんな午後は外で昼寝に限る――。

 

 と四肢の力を抜いてミレが全身を大地に預けようとしたそのとき、いきなり、アーティスにのしかかられた。



 こんばんは、安芸です。

 外でごろごろ日光浴大好き。

 たまに無性に電線のない空が見たくなります。


 明日も更新予定。

 引き続きよろしくお願いいたします。

 安芸でした。

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