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空白の7日間《1日目》

空白の7日間シリーズ、第一弾です。

いきなり馴れ馴れしく話しているのは普段話さないことの反動と考えて下さい。

1日目

「何読んでるんだ?」

「走れメロス、よ」

「渋いチョイスだな」

「これには交友に関する重大なヒントが隠されているの」

「ん、まぁ、友情がテーマだしな。でもそれってメロスの身から出た錆を友人に押し付けて、悩みきった末にやっと戻る決意をしたって話じゃなかったか?」

「読み方が浅いのよあなたは。この作品はそんな低いところにないの」

「そうなのか?」

「ええ、ひねくれた解釈をせずに読めば、暴君が最後の最後でメロスたちの行為に感動し『私も君たちの友達にしてくれ』と自分のしでかしたことを忘れ、厚顔無恥に提案したこの一言でメロスと友人並の確固たる友情を手に入れたと読めるわよね?つまり、この暴君王の背景に何かヒントが隠されているということよ。分かった?」

「サッパリだ。むしろお前こそ素直に読め」

「本来小説とはこう読め!と指定されるものではないのだから好きに解釈していいはずよ。教育と言う名の縄にがんじがらめにされチキンゆえに抜け出せないあなたとはやはり感性が合わないようね」

「それっぽく言ってるけど、ならあの小説の9割は必要ないってことにならないか?」

「ええ、リード文で充分よ。『この物語はメロスとその友人が互いに信じ合い、苦難の末に二人の友情を確かめあった話である』とか」

「すっげーこと言ったなコイツ……」

「あなたに褒められても特に嬉しくないのね。人に褒められて無心になったのは初めてよ」

「お前……。ん?てことはお前でも誰かに褒められると嬉しく感じるもんなのか?」

「人を無感情なロボットみたいに言わないでくれるかしら。それと、褒められた時に感じるのは、人より更に上に立ったという優越感と低レベルな次元で褒められた時の不快感だけよ」

「お前……」

「では試しましょうか。あなたは馬鹿で間抜けでアホ面晒しているゴミ虫のくせに二足歩行出きるなんて凄いわね。どう?嬉しかったかしら?」

「悪口ばっかじゃねぇか!!!褒める時の文に普通は『くせに』とか付かないから!!!」

「それにしても退屈ね」

「メロス読んでんじゃん」

「何か楽しいことはないかしら」

「あ、無視された。う~ん、そうだな。しりとりとかするか?ちょっと憧れてたんだよな」

「……そう」

「いやいやいや!気の毒そうな目で見るなよ!お前だって同じ穴のMUJINAだろ?」

「あなたといっしょくたにされるのは断固として抗議するけど、しりとりをしたいというあなたの希望を叶えてあげてもいいわ」

「そ、そうか?じゃあタケノコのこ」

「普通しりとりの「り」からではないの?」

「え、そうなの?ごめん……知らなかった」

「別に構わないわ。孤独死のし」

「孤独ッ……!し、「し」か~。白鷺のぎ」

「疑心暗鬼のき」

「……き、キラウエアのあ」

「aloneのa」

「やめよっか……。なんか憧れてたのと違う」

「そう?残念だわ」

「はぁ」

次回は本編です

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