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詩のようなもの

作者: 遠藤 史緒

梅雨―――


打ちつける雨は温かく

私を包む

曇った窓辺の奥にうすぼんやりとうつる景色

雨は私に染み込み

私の記憶に雨を降らす

寒さに震え

床に入れば

私を包んだ雨水が

シーツにしみてあとができる

雨はやんだのでしょうか…


春―――


髪をゆらす風

肌を凍らせる

もう温かくない湯船

私の時間は一瞬で

水がタイルにぶつかって

どこのだれともなくなる時

意味深に音は響き

私を狂わせる

風は誰でもない私を

運んでいく


空に響く飛行機の音

一人布団にもぐりこむ

頭の後ろの窓から

オレンジに光り窓から窓の端へ移動する飛行機を…

このベッドごと飛んでいきたい

私は窓の先を見たい


冬――――


ちいさな空に沈むのは

真っ赤な太陽

大きな空に沈むのは

一滴の銀

闇は濁り

星を散らす


夏―――


窓にうつる花火の光

海は静かに見つめる

指先は生暖かい窓に張り付く

風はなく

花火が熱く散っていく


秋―――



暗闇の中

外は嵐

電気もガスもとまった家の中

蝋燭が燃える

炎の反対側にみえる景色

それにのぼせながら

体の表面が溶けていくのを感じた

景色は私の表面と記憶を溶かす

しかし、私の芯は決して溶けない

でも、もし溶けてしまったら

どんなに楽だろうか


暗闇の中

蝋燭の光は静かに

音もなく

揺れていた





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