第悟話、「今すぐにアメリカを打ち殺せ(三)」
4月までにロッキー山脈までを帝国領として白人種から解放するという計画だった「天一号作戦」の第二段階は当初の予定より早い段階で発動することになった。何せ、彼達の想像よりもアメリカ合衆国のインフラは整備されており、一度上陸を行えさえすれば極めて手際よく解放戦線を広げることが出来た。
追いつかないであろう補給も現地調達でどうにかなったし、さらには現地調達できないであろう物資も、代替品は合衆国本土にたらふく存在していた。
じゃあ、何も問題なく合衆国解放作戦は推移していったのか。もちろん、そうではない。と、いうのも……。
いわゆる民兵に帝国軍人は苦しめられることになる。つまるところ、アメリカ合衆国は銃社会である、さらには、そもそもがテロリストの設立した国家であった。
それが意味するところとは、つまり。
……帝国陸海軍は、支那事変よりも前に民兵・便衣兵の恐怖を知ることとなる……。
合衆国市民が国際法を知らないのは有名である。否、合衆国市民だけではない、アメリカ合衆国という国家は先程述べたとおりテロリストが設立した国家である。つまりは、国際法を意識して破るというよりは、単に不便だから自分の思うとおりの行動をして無意識的に破る、ということである。
つまりアメリカ合衆国市民は、ハーグ陸戦条約の反故を自ら宣言した。民兵は例えハーグ陸戦条約と言えども保護下には存在しない。
通称、「死民兵」と仇名されるアメリカ合衆国市民が独自に自警団を作り出し義勇兵と称した帝国陸海軍に対するテロ行為に帝国陸海軍は終生悩まされることとなる。
或いは、だからこそ帝国陸海軍はアメリカ合衆国に対して原爆の使用を行った可能性もあるが、それは流石に早計というものだろうか。




