第肆話、「今すぐにアメリカを打ち殺せ(二)」
引き続き、話の舞台は1933年3月16日に遡る。数日前に発動された天号作戦と銘打たれた諸作戦の全てが成功に終わり、カリフォルニア州からパナマ、ハワイ、フィリピンに至るまでが、ほぼ全て無力化された。中でも鮮やかと言えたのはカリフォルニア州解放作戦であり、地震の混乱を衝いた非常に見事なものであった。
後代――つまりは、冒頭の東京講和会議が歴史に記述される現代――支那臨時政府より天災に乗じるとは、と非難の声が上がったものの、「じゃあ白人種に抑圧されたままで良いのか」という反論と共に、支那臨時政府は有色人種の裏切り者として糾弾され解散することになる。その際に伝統的に支那に甘えていた朝鮮人――まあ尤もこの当時は栄えある帝国臣民だったのだが――が尻馬に乗ろうとした事もあって分離独立の名目でウラニウム鉱山の人夫として遊星統括帝国政府に雇用される形でその全員が死ぬことを前提とした作業員として徴発されたのだが、それはまあどうでも良いだろう。
カリフォルニア州解放によって抑圧下から解放された日系人は無事帝国臣民に再編入されると共に後代今でもアメリカ合衆国の原罪として裁かれる対象であるホロコースト……つまりは日系人絶滅収容所だった地域は順次、元の、つまりは建設した側である白人種が収容されていった。曰く、「汝等が建設を担当したのだから安全な場所に違いなかろう」という名目で。
そして、当然橋頭堡を得た帝国陸海軍は速やかに東征を開始、その週のうちにロスアラモス研究所を占領下に置き、核開発の現場とそれが何処に投下される予定だったかを知り、逆利用を開始。結果的にアメリカ合衆国の東部十三州に投下された原子爆弾はアメリカ合衆国の自業自得として処理されており、国際犯罪として裁かれたオッペンハイマー等は売国奴として今なお糾弾対象となっている。




