第6話:傲慢王子の覚醒と、エデンへの強行突破
1. 予期せぬ追撃者
リリアン一行を乗せた古代魔導船は、魔術式都市『エデン』の強固な防衛網を回避しつつ、内部への侵入を試みていた。
「先生、ゼロの破壊魔術による防衛網は、通常の魔力位相を乱すことで、侵入を阻止しています。ガドの船体強化魔導具で、三分の回避時間が限界です!」ガドが焦った声を上げた。
その時、船の後方から、異常な速度で接近する光の塊をルシウスが検知した。
「先生! 何かが凄まじい速度で接近しています! 魔力特性は、古代魔術に酷似していますが、制御が極めて粗雑です!」
リリアンが船窓から振り返ると、そこには、自身の体から魔力を噴出させ、リリアンの魔導船を追撃するアルベルト王子の姿があった。彼は、古代魔術の基礎理論を無理矢理肉体に定着させ、半ば狂乱しながらも、驚異的な速度で飛行していた。
ドォォン!
アルベルトが放ったのは、不完全ながらも古代魔術の応用である『古代魔術:圧縮推進』。その爆発的な魔力は、魔導船に激しい衝撃を与えた。
2. 覚醒した歪んだ理性
「アルベルト王子! なぜ、まだここにいるの!?」リリアンは驚きを隠せない。
アルベルトは、魔導船の表面に張り付き、歪んだ笑みを浮かべた。彼の瞳には、リリアンから植え付けられた世界の真実の知識が焼き付いているが、その知識は、彼の傲慢なプライドによってねじ曲げられていた。
「リリアン! 貴様は私に真実を見せた! 貴様こそが、世界の理を超越した絶対的な存在だということを!」
アルベルトは叫んだ。「だが、世界の支配者は、常に最も強い者でなければならない! 貴様は、その力を世界を救うという『甘さ』に使おうとしている! それこそ、私が最も嫌悪する王族の『優しさ』だ!」
彼は、リリアンの「自由な世界」を望む意志を、かつての自分が持つべきだった「甘い優しさ」と解釈し、それを否定することで、自らの存在意義を見出そうとしていた。
「貴様は、私に『無力さ』を植え付けたが、私はその知識で覚醒した! 私は、貴様のその甘さを断ち切り、最も強い支配者として、この世界を管理する! それこそが、世界の安定に必要な真の『秩序』だ!」
3. 古代魔術VS歪んだ覚醒
アルベルトは、船体に手を突き刺し、無謀にも『古代魔術:位相破壊』を試みた。これは、船体を内部から崩壊させる、極めて危険な行為だった。
「ガド、バリアを! シエル、彼の魔力の暴走を抑えて!」リリアンは緊急の指示を出した。
「間に合いません、先生! 彼が放っているのは、制御を放棄した純粋な知識の力です!」ルシウスが叫んだ。
リリアンは、アルベルトを倒すのではなく、彼を船体から切り離すことを選んだ。
リリアンは、無詠唱で『古代魔術:無重力空間』を発動させた。
船体の一部に、局所的な無重力空間を発生させ、アルベルトを船体から強制的に引き剥がした。魔力の暴走に耐えられず、アルベルトは遠方へと吹き飛ばされていく。
「アルベルト! あなたの歪んだ秩序は、私が創る自由な世界には必要ないわ! その力は、世界の平和のために使いなさい!」
リリアンは、その言葉をアルベルトに投げかけることしかできなかった。彼を完全に排除することは、リリアンの世界観に反する。
4. 妹への切迫
アルベルトとの予期せぬ遭遇で、魔導船は時間をロスしてしまった。
「くそっ、王子に時間を取られた! エデンの防衛システムが、浄化プログラムの最終起動フェーズに入っています!」ガドが焦燥を隠せない。
ルシウスは、ホログラムに映し出されたエデンの中枢を見て、顔色を変えた。「シエラの生体認証が、開始されました! あと五分で、浄化プログラムが起動します!」
リリアンは、冷静さを取り戻し、ルシウスとガドに鋭い指示を出した。
「アルベルトに構っている暇はないわ。ガド、最終兵器『超精密魔導具』の準備を! ルシウス、エデン内部の構造を解析し、最短ルートを確保! シエラを救い、ゼロを止める!」
リリアン一行は、時間との戦いの中、魔術式都市『エデン』の最終防衛ラインへと強行突入を開始した。
第6話、お読みいただきありがとうございます!
アルベルト王子、まさかの覚醒です! リリアン先生の「ざまぁ再教育」を、逆に「世界支配のための絶対的な力」として歪んで解釈し、最強パーティの前に立ちはだかるとは! これは、リリアンちゃんの「自由な世界」という理念に対する、非常に重い問いかけになりましたね!
そして、リリアン先生の『無重力空間』による局所的な対処もかっこよかったです!
しかし、アルベルトに時間を取られたせいで、妹シエラの生体認証がスタート! 残り時間はあと五分! いよいよ、ガドの超精密魔導具が火を噴く、エデンでの最終決戦です! 次回にご期待ください!




