第4話:元聖女の贖罪と、古代の遺物
1. イザベラの現在
リリアンが世界を救い、古代魔術が普及した後、元聖女イザベラは、かつての力を失い、王族の庇護も失って、ひっそりと暮らしていた。彼女は、王都郊外の小さな集落で、もはや聖女としてではなく、一介の看護師として人々の傷の手当てを手伝っていた。彼女の魔力は戻らないが、リリアンが普及させた新たな魔導具と古代魔術の応用知識は、彼女の仕事に役立っていた。
イザベラの心には、かつてリリアンを軽蔑し、神々に頼って傲慢になった自分への深い後悔があった。彼女の贖罪は、リリアンの力に頼らず、地道に人々のために尽くすことだった。
ある日、イザベラは、集落の近くで怪我をした旅人を助けた。その旅人は、偶然にも古代文明の遺物研究者で、彼女に一つの古びた資料を託した。
「これは、地底都市アガルタで発見された、古代文明の『管理プログラム』に関する極秘資料です。これを、リリアン様に届けてほしい」
2. ルシウスとイザベラの接触
イザベラは、その資料の重要性を悟り、勇気を振り絞って古代叡智研究都市へと向かった。彼女が研究施設に到着すると、ルシウスが一人で次の作戦のシミュレーションを行っていた。
ルシウスは、かつてリリアンを追放した元聖女を前に、感情を表に出さず、冷淡な口調で尋ねた。
「元聖女イザベラ。何の用ですか? あなたは、私たちの計画に関わる資格はないはずですが」
イザベラは、ルシウスの冷たい視線に耐えながら、深々と頭を下げた。
「ルシウス様。私は、過去の過ちを深く反省しています。リリアン様が創られた平和な世界で、私にできることは、もうありません。しかし、この資料だけは……」
彼女は、古びた資料をルシウスに手渡した。「これは、古代文明の『対・浄化プログラム用バックドア』に関するものです。ゼロの計画を阻止する鍵になるかもしれません」
3. 古代のバックドア
ルシウスは、受け取った資料を一瞬で『完全記憶』に取り込み、解析した。資料には、古代文明が、万が一『浄化プログラム』が暴走した場合に備えて、外部から介入できる隠された安全装置を設計していたことが記されていた。
しかし、そのバックドアは、通常の魔力や古代魔術では起動できず、「特殊な周波数の魔導具の振動」を必要としていた。
「これだ! ゼロの破壊魔術が、その『特殊周波数の振動』を打ち消すことで、浄化プログラムの実行を確実なものにしようとしているんだ!」ルシウスは、その重要な情報に興奮を隠せなかった。
リリアンとガドが、その騒ぎを聞きつけてルシウスの元へやってきた。
リリアンは、資料提供者であるイザベラに目を向けた。かつての憎悪の念はなく、ただ冷静な評価だけがあった。
「イザベラ。あなたは、重要な情報を提供した。感謝するわ」
4. ガドとイザベラの協力(贖罪の役割)
ガドは、その資料を見てすぐに閃いた。「この特殊な周波数を打ち消されないように起動するには、超精密な魔導具が必要です! ゼロの破壊魔術の直後、彼の魔力位相を乱さずに、ピンポイントでバックドアを叩く…!」
ガドは、リリアンの作戦で必要としていた「超高速介入装置」に、このバックドア起動の周波数を取り込むことを決めた。
「イザベラ。あなたに、この魔導具の最終的な調整を頼みたい」リリアンが言った。
イザベラは、驚きに目を見開いた。「私が……ですか?」
リリアンは頷いた。「この資料に記されている古代の周波数は、現在の魔導具の計測器では極めて不安定よ。かつて聖女として**『神聖な波動』**に最も近かったあなたの感覚と、贖罪の意志が、この魔導具の成功率を上げる唯一の要素になる。これは、あなたにしかできないことよ」
イザベラの瞳に、涙が滲んだ。それは、リリアンへの感謝、そして世界を救う戦いに貢献できることへの、贖罪の喜びの涙だった。
「はい、リリアン様! 私の命に代えても、この魔導具を完成させます!」
こうして、かつてリリアンを追放した元聖女イザベラは、リリアンが創り出した新しい世界を救うための、縁の下の力持ちとして、戦いに参加することになった。リリアンたちの最強パーティは、イザベラの協力を得て、魔術式都市『エデン』への再突入の準備を整えた。
第4話、お読みいただきありがとうございます!
きました、元聖女イザベラの改心と贖罪のターン!
かつてリリアンを追放したイザベラが、地道に看護師として暮らしている姿と、リリアンが創った世界を、彼女自身の過ちを胸に生きているのが、最高の「ざまぁ後」の展開ですね!
そして、彼女の持ってきた資料が、ゼロの計画を阻止する『対・浄化プログラム用バックドア』の鍵になるとは!
リリアン先生も、私情を挟まず、イザベラの特殊な感覚を活かして協力を求めるあたり、さすが世界の指導者です! ガドとイザベラの異色コラボで、妹シエラを救うための超精密魔導具が誕生しそうです! 次回こそ、魔術式都市「エデン」へ再突入です! 続きもどうぞお楽しみに!




