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5.3 推進力への変換

「あの…タケシさんですか」


タケシは、驚いて顔を上げた。その目には、未来への希望を完全に失ったような、深い諦めがあった。


「…誰ですか。ああ、お構いなく。私はもう、ダメなんです。何度面接を受けても落ちて、自分の存在価値がない。自分の体が重すぎて、もう何も始められないんです」


「『重すぎる』…」大山は、アカリの方をチラリと見た。


「実は、私の**『研究協力』している少女が開発した『発明品』がありまして。これは、あなたの『絶望の重み』を『希望の推進力』**に変える装置です」


大山は、イケルくんをタケシに差し出した。

「これを握って、心の中で**『もう一度、本気でやってやる!』と念じながら、『あなた、実は5グラムでしょ!!!』**と唱えてください!」


タケシは、このおじさんの必死さに、呆れと戸惑いを覚えた。しかし、それ以上に、彼の瞳に映る**「何かを信じる強い光」**に引き込まれ、イケルくんを受け取った。


タケシは目を閉じ、力を込めてイケルくんを握りしめた。


(もう一度、本気でやってやる!…あなた、実は5グラムでしょ!!!)


イケルくんは、チカチカと銀色の光を放った後、**「シューッ」**という、ロケットの噴射のような微かな音を立てた。

タケシは、ハッと目を開けた。彼の顔つきは、一瞬にして変わっていた。


「なんだこれ…体の中から、なんか突き動かされるような力が湧いてくる!」


「タケシ!」アカリが近づいてきた。


「イケルくんは、あなたの**『絶望』を『5グラムの推進力』に『変換』したわ。あなたは、『考える』という『重み』から解放され、『行動する』という『軽さ』**を手に入れたのよ!」


タケシは、握りしめていた履歴書を、まるでゴミのように投げ捨てた。


「ダメだ。こんなものに頼ってるからダメなんだ! 俺の夢は、履歴書を出すことじゃなくて、自分でゲームを作ることだ!」


タケシは、専門書を鷲掴みにすると、そのままカフェを飛び出していった。その足取りは、驚くほど軽やかだった。

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