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4.1 動かない時間
ムラカミ上司の**『怒りの質量』**を解消した翌日。大山とアカリは、少し寂れた商店街の片隅にある、小さな公園にいた。
「大山。今日の**『被験者』は、『時間の流れ』に抵抗する『哀れな生命体』**よ」
アカリが指差したのは、公園の隅で、ぼろぼろになったベンチに座っている老婦人だった。彼女は、手編みのマフラーを編む手を止め、時折、空を見上げては、静かに涙を拭いていた。
「あの老婦人は、**『過去という名の重力場』に囚われているわ。『記憶の重圧』が、彼女の『真の5グラムの質量』を、『動かない過去の重み』**で固着させているの」
大山は、老婦人の悲しげな姿に胸を痛めた。
「あの人は、たぶん、亡くなった旦那さんのことを思い出しているんだろう。ああいうのは、発明品なんかで解決できる問題じゃないだろ」
「いいえ。**『悲しみの質量』は、『時間』という『偽の重力』によって増幅されるものよ」アカリは断言した。
「『役立つ人』の定義は、『物理的な不便』を解消するだけではないわ。『心の重み』を軽減することも、『偉大な科学者』の『社会的使命』**なの」




