H小 ① モモ
欅に銀杏、百日紅に金木犀、染井吉野
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「先生方、宜しいですか」
象のキッスク、リリー校長が職員室へ入ってきた
丁度、4限目の授業中だった
職員室にはあおぞらクラス担任ポニテ先生、6年生担任オワリ先生、2年生担任のイトキョ先生が授業の準備や小テストの作成などに勤しんでいた
3人とも担任なクラスは音楽や体育、図工といった出張授業の時間だったため職員室にて業務を行っていた
リリー校長が語り始める
「先生方、我が校には樹木が少ないように感じます。新しく木々を植えて育てましょう」
「木ですか。いいですね」
ポニテが調子を合わせて、右手で鬣タテガミに触れた
「みなさん、現在植えられている木々の種類は分かりますか」
「ケヤキにイチョウ、サルスベリにキンモクセイ
ソメイヨシノ 」
「流石ですね。オワリ先生」
当然です、と言わんばかりの真顔で返答するオワリ
「何か新しく育てたい樹木はありますか」
白いブラウスシャツで決めたイトキョが手を上げる
「桃」
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艶やかにグロスが光る、整った小振りな唇から漏れたモモの撥音は官能的で男性教育者の瞼にHANABIがチラついた
挙手したその右腕がブラウスの生地を引き付け、豊かな胸の輪郭が浮かび上がる
濡れたリップが、もう一回、"モモ"と意地悪な息を吐いた
まるで低学年の男子に教育を施すようなその"モーモ"の響きは、妙に大人を感じさせた女教師に憧れを抱いてしまった小学生の僕を叩き起こして。
呼び覚まされた淡い童心にピンクの空気が絡みつき、校長のリリーとオワリ先生は固まった
教育者だって男なのです、の一定理解の校風に守られて
視線が胸元を終えた仕舞に足元まで目泳してしまった
膝元で生足と境界された黒のタイトスカートから太腿の形状が微かに推測できた
視線が下ったことを察したイトキョ先生は、さも、男子を、からかうように、もう一回、"フフ"、桃色吐息を、くれた
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#20250313
「桃に決定しました、パオパオパオーン!」
校長の反り立つ鼻が嘶いた
来年、再来年には校庭に彼女の桃色吐息が実現して、
桜よりも仄かに甘美なピンクを咲かすのだろう
3年過ぎれば実を結ぶ
子供達が熟れた桃を食すのも良いだろう
授業の一環で
あの人の桃を見つめるのも良いんだろう
人生の一環で
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