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2-31

サージェント王国は人間が統治する国では、軍事、経済の両面において一番の大国だった。そのサージェントの王族には、代々、異能者が生まれていた。50年前までは。

先々代王の異母弟であった異能者の悲劇的な死によって、サージェント王国、ひいては人間の中に、異能者は生まれなくなってしまったのだ。

それは、権力争いの中で愛する番と共に殺された異能者の呪いとも、異能者をぞんざいに扱った人間への神の怒りとも言われている。


それ以来、サージェント王国は、率先して魔物と戦ってきた。サージェント王が騎士として討伐に出るのも、神への懺悔の一つなのだそうだ。



その中で、異能者の復活を願う組織が存在した。彼らは、神が人間を見捨てたのなら、人間が自らの力で、異能者を生み出せば良いと考えた。

その考えの基、彼らは、人間の救済と称して、身寄りのない孤児や、浮浪者、移民を使って、非道な人体実験を繰り返していた。


この組織の被害者の一人が私だった。

私は、異能者になり損なった失敗作なのだ。


そして、この組織を作り、統率していたのが、先々代王であり、アデライード様の祖父、アルカンディア様だった。




「人の手によって、異能者を作る、だと…?それは…、そんな事が、本当に可能なのか…?」


「分かりません。でも、私がその組織の中で、二年も生きながらえたのは、途中までは、実験が上手くいっていたからです。度重なる実験の結果、膨大な魔力を蓄えられる魔力貯蔵器官と、他人から強制的に魔力を奪える能力が、私の中に生まれました。ですが、最後の魔力製造器官だけは、私の中に定着しませんでした。そのため、私の体は酷く不安定なのです。」


「そんな…。」


ヴェイル様は急に立ち上がると、私の前に縋るように跪いた。



「俺の魔力では、駄目なのか?確かに、魔力製造器官の移植は前代未聞だ。危険はあるだろう。だが、ゼイン医官なら、きっと上手くやってくれる。俺も死んだりしない。約束する。だから…。」


「私に、異能者になれというのですか?私の体に、ヴェイル様の魔力製造器官が定着すれば、私は、人の手によって生み出された異能者の初の成功作になってしまいます。」


「それでも、ステラの命は救える!」


「そんなの絶対に嫌です!」


「ステラ!これだけは譲れない。貴女に恨まれたって、俺は…。」


そう言われた瞬間、私は、ヴェイル様の頬を思いっきり叩いていた。




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