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重い沈黙に耐えていると、私達を乗せた馬車は、いつの間にか王宮に到着していた。
外から声がかけられ、ヴェイル様が馬車の扉を開ける。
私も外へ出ようと席を立つと、先に馬車から出たヴェイル様に再び抱き上げられた。
「ヴェイル様!?あ、あの、もう、大丈夫です。一人で歩けます!」
ヴェイル様から距離を取ろうと、体勢を変えると、彼の腕にやんわりと引き寄せられた。
「俺に触れられるのは嫌だろうが、このまま貴女を運ばせてくれ。心配なんだ。」
ヴェイル様は、私の返事を聞く前に、正面にある王宮の階段を登って行った。
嫌じゃない。
むしろ逆なの。
ヴェイル様に触れられて、嬉しいと思ってしまっている。
そんな自分に困っているのよ。
固く蓋を閉じても、溢れ出てくる想いに、私は唇を強く噛み締めた。
ヴェイル様が連れて来てくれた部屋は、以前私が使っていた客間だった。
その部屋には、疲れた顔をしたゼイン先生が待機していた。
「ああ、良かった!ステラが無事で。殿下、ステラをお救いくださり、ありがとうございます。」
ゼイン先生は、目を潤ませてヴェイル様に頭を下げた。そんな先生に、ヴェイル様は頷き返す。
ヴェイル様は、そのまま部屋の奥へ進むと、そこにあったベッドに私を優しく下ろした。そして、私の手を握って、床に膝を突いた。
「もうここに貴女を害す者はいない。だから、安心してゆっくり体を休めてくれ。そして明日、貴女の体調に問題がなければ、俺の話を聞いてほしい。」
私を見つめるヴェイル様の瞳には、今まであった動揺の色は見られない。怒りも悲しみも喜びもない凪いだ瞳がそこにあった。
「はい、分かりました。」
真剣な表情のヴェイル様に、私はしっかりと頷いて答えた。
ヴェイル様が部屋を出て行った後、私はゼイン先生の丁寧な診察を受けた。
その結果、少し魔力が減っていたものの、特に問題はないと言ってもらえた。
けれど、キャロライン様から受けた仕打ちを誰にも相談しなかったことに対して、ゼイン先生に凄く怒られてしまった。自分を大切に出来ない子にはお仕置きだと言って、私は、気を失いそうになるほど苦い薬湯を飲まされたのだ。
「ステラ、殿下としっかり話をしなさい。遠慮なんてしちゃ駄目だよ。言いたい事は全て言っておいで。分かったね?」
「はい、先生。」
ゼイン先生は、最後にそれだけを言うと、静かに部屋を出て行った。
部屋に一人残された私は、苦い薬湯が効いてきたのか、ポカポカと体が温まり、いつの間にか眠ってしまっていた。




